ちょっと待ってて…
私たちは日ごろ、あたりまえに「ちょっと待ってて」という言葉を使います。
お袋の老人ホームでのことです。あるご婦人が「ちょっと、ちょっと」と支援者を呼んでいました。支援者は「ごめんね、○○さん、ちょと待っててね」と言って横を通り過ぎます。
その向かいに座っていた私のお袋が言いました。「ちょっと待っててって言って、そのまんま忘れられちゃうよ」。私が、「そんなこと言わないで」とお袋に言っても、お袋は「だっていつもそうなんだから」とすましています。
現実的にどこの特別老人ホームも人手不足に悩んでいます。また、指定基準どおりに配置できたとしてもそれで十分というわけではありません。
私たちも障がいのある方への支援場面において「ちょっと待ってて」を連発していることがあります。以前、支援者の一人から、「ちょっと待ってて」について見直そうという提案が出されました。大事なふりかえりです。
今はできるだけ、利用者さんにわかりやすく、「○○さんとの話が終わったら行きますね」とか「お手洗いが終わるまで待っててください」というように具体的に言葉にするように気をつけています。
「ちょっと待ってて」の「ちょっと」は利用者さんにとってもどれくらいなのかわかりません。同様に口にした支援者自身にも、「ちょっと」の具合がわかっていません。「ちょっと」と言いながら二つも三つも用事を済ませてから、「な~に」と声をかけている支援者もいました。
そこでどうしても手が離せないときは、具体的に「すみません○○するまで待ってください」と返答するようにしました。支援者も自分の行動を具体的に伝えることで、責任が生まれます。利用者さんから呼ばれた時、「トイレ行って、洗濯干して、電話かけるから待ってて」とまでは言いません。本当に言ったことだけで利用者さんのところに行くことができます。
でも、つい「ちょっと待ってて」って言ってしまうので、自分への戒めのために書きました。