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突然、目の前で大泣きをされたら…
一緒に活動をしている利用者が、とうとつに大泣きを始めることがあります。
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。主たる業務は、理事長業務です。しかし、法人の本部が事業所の中にあるので、いつも大勢の利用者に囲まれてすごしています。
突然、泣き出す
いろいろな障がいやクセを持っている人がいます。だいぶ前のできごとが急によみがえってきて、あたかもそのことが直前に起きたかのように感じられる人がいます。悲しいできごとを思い出してしまうと、突然、大きな悲しみに包まれて泣き出します。しかし、周囲にいる支援者は、何が起きたのかまったくわかりません。ただあわてるばかりです。
また、感情が豊かすぎる人は、仲間同士のちょっとした言葉のやりとりで泣き出す人もいます。たとえば、「あっちいけ」と言われたとか「嫌い」と言われたとかです。言った利用者は、語彙がたくさんないためにストレートな言葉になっているだけです。
すぐそばで泣かれると対応に困る
利用者が、自分のすぐそばでとうとつに泣き出したときのことです。最初の内は、自分に非がなかったか思い返します。「ごめんなさい、なにかいけないことを言ってしまいましたか」と相手に聞くこともあります。また、周囲の目も気になります。周囲から「アイツ何かやったんじゃないか」そう、思われたらどうしようと心配になります。対応に困っておろおろします。
ところが、その利用者がちょっとしたことで泣く人だとわかってくると、支援者の対応が変わります。そばで利用者が泣き出すと「なに泣いてるの」とか「もういちいちそんなことで泣かないの」と、強気な態度に出ます。
私たち支援者は、常に自分がその立場だったら、という視点が必要です。自分が悲しいときに、友だちに「そんなことで泣かないの」と言われたらどうでしょうか。きっと「ほっといてくれよ」と思うのではないでしょうか。泣きたいときは、思う存分泣ける、そんな支援も必要です。
思う存分泣ける環境を
一人の利用者が泣き出すと、周りの利用者が気にして集まって来ます。そのときは、泣いているご本人を別の部屋に誘導する、もしくは周りの人に移動してもらう、他の利用者に何か夢中になれることを提案してみます。他の支援者が目配せをしてそういう支援を始めます。
今日も同様のことがありました。支援者の一人が数人の利用者を連れて他の部屋に移動しました。また、私は「すみませーん、誰かコピー手伝っていただけますか」と声をかけて事務室にきていただきました。そうしたら、コピーをしたい人がたくさん集まって…密でした。
泣きたいときは、しっかり泣ける、そんなお手伝いもだいじな支援です。