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【人権について】ドレッシングは誰がかけるのか

障がいのある方の支援をしています。もう30年以上も経ってしまいました。何年続けていても、ついおろそかになってしまうことがあります。大事なことを忘れないためにここに書き留めます。

人権は意識していないとすぐに落ちてしまいます。また、人権を意識するポイントは生活、支援のあらゆる場面に存在しています。たとえば食事のこんな場面にもポイントがあります。

サラダにドレッシングをかけます。私たちはある程度の範囲の中で自由にドレッシングやマヨネーズを選ぶことができます。でもそれができないのが障害者支援の現場です。

日中活動の給食やグループホームの食事では、ソース、醤油、ドレッシング、マヨネーズ等があらかじめかけられて提供されることがあります。

私は、支援者が勝手にドレッシングをかける場面を見つけると、やめさせて、「ご本人と一緒にかけてください」、とお願いをします。すると支援者は必ず、抵抗してこう言います、「本人にやらせるとかけすぎるんです。かけすぎると体にに悪いし」。

利用者の健康管理は支援者の大切な支援のひとつです。ただし方法は、支援者が一方的にやるのではなく、ご本人と一緒にやることです。優しく利用者の手を持って一緒にかけます。そのときに、「かけすぎないの」とか注意するのではなく、「これぐらいでいい?」とか「これぐらいにしようか」など相談や提案の言葉を使います。

以前、ドレッシングはノンオイルしかだめ、と言い切るグループホームの支援者がいて、利用者から苦情がきましたた。その支援者は意地悪をしていたわけではありません。ノンオイルの方が体に良いと思っていただけです。それがその支援者にとって一番良いことでした。

食事は誰にとっても楽しみのひとつです。それに制限をかけられるとストレスを感じます。だからといって好きにしていると病のリスクが高まります。支援者はあの手この手を使って、伝えていかなければなりません。また、支援をしたあとはパセージの心理面の目標を使ってふりかえります。今の対応は、自分には能力があると思えたか、支援者は仲間であると思えたかと。

また、私が迷ったときに参考にする一冊があります。「知的障害者成人期権利擁護事例集 日常にある確かな権利“気づいてほしいわたしのためのあなたのための26の権利”」という冊子です。

ここではメニューについて、利用者と栄養士が直接話合いを重ね、改善した事例をもとに解説をしています。バランスの良い食事は大切、ただし何を食べるか自分で選択することも大切、その両立ができるように工夫をしていくこと、それが支援だとしています。

まだまだパターナリズム的な考えが残る現場です。支援者は誰でも良いことをしようと思っているのに人権侵害をしてしまうということを意識して、利用者に確認を取りながら進めることが求められます。


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