それ、ヒヤリハットでいいですよね…
ある利用者がある利用者のことを叩いてしまいました。言葉では上手に自分の想いを伝えることができず、人を叩いてしまうような利用者がいます。
報告を聞いた私は、事故報告書の提出をお願いしました。それに対して現場にいた支援者は、たいしたことがない、○○さんが叩かれたときはヒヤッとしたけれど、ケガもなくホッとした、だからヒヤリハットで良いのではないかと言います。しかし、「たいしたことない」と言っているのは、叩かれた当事者ではなく、第三者の支援者です。当事者の気持ちが反映されていません。
ヒヤリハットの定義をインターネットで検索すると、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例とあります。
ここで間違えていることは、支援者は、ケガがなければたいしたことがないと判断してしまっていることです。人を叩くということが重大な事故の一つであるという認識をしなければいけません。
すぐに他者を叩いたりしてしまう行為は、他害行為と呼ばれ強度行動障害の一つです。障害の一つであるということは、支援者はあらかじめそのような行為に出るということを把握しているということです。その視点からいけば、利用者が利用者を叩いてしまうということは十分に支援が行き届いていなかったということになります。だから事故です。
私も長いこと間違っていました。ケガがなければ大丈夫だと思っていました。
叩かれた利用者によっては、十分に反論できない場合もあります。私たち支援者の役割にはアドボガシー(権利擁護,代弁)という役割があります。反論できない人の気持ちも考えて、他害行為をおこなってしまう場面をなくす工夫が必要です。そのためにはまず、それが事故だと認識をして報告をあげることから始まります。