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支援がずれはじめるとき

グループホームの利用者が、私のところにやって来て「今日の泊りは?」と泊り支援者の確認をしに来ます。私は「今日は〇〇さんだよ」と伝えます。それを日に何度も繰り返します。私は、その利用者が宿泊する支援者の名前を聞いて顔つきを変えないかどうか気にします。

私は障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人の中には、障がいのある人が支援者と一緒に共同生活をするグループホームがあります。そこで生活をする利用者にとって、その日に誰が泊るのかというのは大きな問題です

支援者は気にしない…

支援者は、仕事でグループホームに泊ります。そのため、利用者の気がかりを意識していません。しかし、利用者にとってグループホームは家にかわる場所です。自分の家に入り込んでくる他人のことが気になるのはあたりまえです。

また、支援者はグループホームの入居者が自分のときと他の支援者のときでは様子が違うことに疑問を持ちます。しかし、それが普通です。私たちは、相手が自分に対してどんな対応をしてくれるかによって立ちふるまいを変えます

支援者によって生活を変える

ある利用者は、宿泊する支援者によってグループホームに帰る時間を変えていました。ある利用者は、宿泊する支援者によって帰りにコンビニで買うおやつの種類を変えていました。

支援者の会議でこのことが明らかになったとき、「とくにうるさいことを言ったつもりはないんだけどなぁ…」と支援者は頭を抱えていました。きっと利用者にとっては、支援者の何気ない素振りや顔つきで気になることがあったのだと思います。

雰囲気で生活を変える

グループホームでの支援は、利用者への直接支援だけでなく雰囲気がだいじです。言葉によるコミュニケーションが苦手な利用者も雰囲気を感じるのは得意です。ある支援者の日は、いつまでもでリビングでテレビを見てすごします。別の支援者の日は、食後にすぐに自分の部屋に行ってしまいます。支援者によって、共有リビングに滞在している時間を使い分けています。

利用者は、支援者によって生活を変えています。本来では、利用者が気がねなくすごしていただけるようにしなければいけません。しかし、グループホームは支援者個人の価値観にゆだねることが多く、利用者に負担をかけています。

支援がずれはじめるとき

ある支援者が、私の日はいつも私の横で泣いているんです、と悩んでいました。それを聞いた別の支援者は、私のときはいつもご機嫌です、と言いました。悩んでいる支援者は、それを聞いてより一層悩んでしまいました。

私たちの毎日は、いつも楽しいわけではありません。しかし、私たち支援者は、利用者にいつも笑顔でいて欲しいと願い、その状況を作ろうとします。そのため、利用者は無理して笑顔でいようとしているのではないかと思うことがあります。

横でいつも利用者が泣いている、支援者にとっては辛い時間です。しかし、利用者はその支援者の横では泣いてもいいんだ、そう思っているのかもしれません。利用者には大切な存在です。反対に他の支援者の前では無理をしているのかもしれません。

私たちは、自分が見ている姿がその利用者のすべてだと思い込みです。しかしその思い込みから支援がずれていきます

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