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笑えるハプニングはやがて宝になるよ
派遣会社から紹介された支援者が来ます。初めての試みです。今は、慢性的な支援者不足です。それに加えて、支援者が感染、もしくは濃厚接触者になると、事業所が回らなくなるという心配があります。そこで、少しでも多くの援者を確保する必要があり、派遣会社にお願いをしたところです。
従業員の生活が変わったことによる雇用
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。現場の支援者から理事長になり15年が経ちました。この15年間、人材確保に悩まされてきました。経営上、支援者の数はいつもギリギリの人数です。新しい人を雇用するときは、誰か人が辞めたときです。
最初のころは、根本的に人が足りませんでした。最近は、産休、育休、定年による欠員が生じ、新しい人を雇用しなければいけなくなりました。この15年で、支援者の生活状況が変わってきました。
未経験者を大事にしよう
今回は、グループホームで2名の若い派遣社員が働くことになりました。お二人とも福祉サービスは初めての経験です。その点も踏まえたオリエンテーション、教育が必要です。
今、私の法人で働いてくれている支援者の半分は、福祉サービス未経験者です。いろいろな仕事をしてきた人がいます。たとえば、カメラマン、美容師、ガードマン、飲食店店員、経理、秘書、車の営業です。福祉サービスは、あらゆる仕事の経験が活かせる仕事です。また、福祉専門職ではない方が、利用者の生活が広がります。未経験者をだいじにしなければいけません。
私は、初めて福祉サービスの職に就く人には、ちょっとしたハプニングを楽しんでください、というお願いをします。利用者の支援をしていると支援者の予測できないことが起きます。そんなとき「なんでそんなことするんだろう」と思うとどんどん辛くなります。支援者にとっては、ハプニングでも利用者にとっては良くしようとする目的があります。支援者がイライラするとその目的が見えなくなります。支援者同士で話をするときに「こんなことがあってさぁ、もう笑っちゃったよ…」と言える雰囲気がいいです。
私のハプニング
私が、グループホームに泊っているときのハプニングです。私は、休憩室で仮眠をしていました。真夜中にふと目が覚めると、目と鼻の先に利用者の顔がありました。私があわてて「どうしたの?」と聞くと利用者は「眠れない」とつぶやきました。こんなときは「あ~ビックリした」ぐらいで笑ってすませます。
また、ある利用者がいつまでもお風呂から出てきませんでした。心配になって声をかけ様子を見ると、体中を泡だらけにしてシャンプーでお風呂掃除をしてくれていました。シャンプーが半分ぐらいなくなっていました。たとえ「やられたー」と思っても、とりあえずお礼の言葉を伝えましょう。
ハプニングは、グループホームの中にかぎりません。休日に利用者と一緒にマクドナルドに行きました。レジでのことです。一人の利用者が大声で言いました。
「すみませーんモスバーガーください」
店員さんは苦笑いをしていました。私が「すみません、ビックマックでお願いします。」と言ったそばからもう一人の利用者が言いました。
「コーラ、コーラのあったけぇやつくれる。」
店員さん、変な注文をしてごめんなさい。さらに笑ってしまってごめんなさい。
利用者とのかかわりで笑えたできごとは、何十年経っても自分の中で色あせません。それが宝になります。明日から新しい支援者が来てくれます。一緒に笑えるできごとを作っていきます。