幸せな仕事/障がい福祉サービス事業
私は、アイドルではありません。しかし、まるでアイドルに出会ったときのようなもてなしをされることがあります。そんなことがあるたび、この仕事を続けてきて良かったと思います。
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。理事長です。私が所属する社会福祉法人は、小さな事業所が一つの地域に点在しています。そのため、定期的に事業を巡回します。
ボクってアイドルかなぁ…
私が、事業所を訪問すると大喜びをしてくれる利用者がいます。まるでアイドルに会ったときのように「キャー」と悲鳴をあげてくれます。その人は車いすに乗っています。私が姿を見せると、車いすに座ったまま体を震わせて喜びを表現してくれます。アルプスの少女ハイジに出てくるクララのように、そのまま立ち上がるのではないかと思ってしまいます。立ち上がらないまでも、前につんのめりそうなので、私は駆け寄って車いすの前でかがんで手を握ります。
その利用者とは10年ぐらいのお付き合いになります。今は、移動を制限しているため頻繁に会うことができません。そのため、ときどき電話で話をします。また、支援者とZoomをした後にオンラインで会ったりします。この10年間、特別な支援をしたわけではありません。それでも、こうして会うことを楽しみにしてくれているというのは幸せです。
ボクってキャラクターかなぁ…
また、ある利用者は、私の車がグループホームの駐車場に入るのを見つけると玄関に先回りをしてスリッパを出して待っていてくれます。私が玄関を開けると、満面の笑みで「髙橋さん、来た!」と言います。
そのあとは、グループホームのリビングで自分の部屋からいろいろな物を持って来て私に見せてくれます。それは、ガイドヘルパーと一緒に買った物だったり、写真だったりお店の広告だったりします。すべてがその人の宝物です。
また、その利用者と話をしていると、その人の後ろに3人ぐらい別の利用者が並びます。ある人は小遣い帳を手に持ち、ある人は日中活動でもらったプリントを持っています。みなさん、いろいろな報告をしてくれます。私の前に人が並んでくれると、ディズニーランドのキャラクターがグリーティングをしているみたいです。集まってくれるというのは幸せです。
私を出迎えてくれた利用者は、私が帰るときも玄関まで来て「髙橋さん、明日来る?」と私に聞きます。私が「明日は、昼間、会おうね。」というと「ラッキー」と喜んでくれます。この仕事をしていて良かったと思う瞬間です。
喜んでくれる利用者が私の糧です
事業所の訪問は、気の重い課題を抱えて行くことがあります。また、何か問題が起きてしまいその処理で行くこともあります。そんなときでも、大喜びで私を迎えてくれる利用者がいると気持ちが楽になります。
5年前に起きた相模原の事件で、被告は「必要がない人間」というような表現を使いました。それは絶対に間違っています。私を支えてくれる人の中には重度の障害を持った人がいます。言葉がなくても会いに行くと喜んでくれます。その人たちの存在が私を存在させています。それだけは、言い続けなければいけないと思っています。
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