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自分のお金をすぐに使えないさみしさ
福祉サービスにおいて、事業所・支援者と利用者は契約による対等な関係になりました。しかし、実際の支援場面においてはまだまだ不十分です。
冬休み中の12月30日にグループホームに入居されている利用者から電話がありました。ちょっと買物をしたらお金がなくなっちゃった、お正月に出かけたいけどどうしようというのです。
私たちは利用者のお金の管理を手伝っています。利用者のお金の管理は、行政指導のもと厳重な体制で行います。銀行口座からお金を引き出すときは、利用者が依頼書を書き、担当の支援者が確認したのち、上位者が引き出しに行きます。利用者のお金を引き出せる支援者もごく少数に限定しています。また利用者の中には自分で書類を書けない人がたくさんいます。その場合は、ご家族や後見人に確認を取ります。
残念なことに支援者が、利用者のお金を着服する事件が何度も起きています。そのような事件があるとどんどん規制が厳しくなり管理的になります。その結果、利用者が自分のお金の出し入れをするのに手間がかかるようになります。さらに自分のお金を銀行からおろすのに、支援者にお伺いをたてるような物言いになります。
しかし、以前は別の意味で、金銭管理は厳しい管理下にありました。支援者から見て不必要な物を利用者が買って来ると「またぁ、そんな物ばかり買って、部屋にいくつもあるでしょう」と、注意されていました。支援者が厳しく管理していました。
年末に私に電話をしてきた利用者は、以前、別の事業所で厳しい管理をされたため、今でもお金を使うことに臆病になっています。支援者が臆病にさせてしまいました。
私たちは、原則10日に一度、銀行に行きます。利用者は支援者と相談をしながら、先を見越して引き出し依頼書を書きます。今回も、先を見越した請求をしていました。しかし、年末に久しぶりに趣味の物を購入したためにお金がなくなってしまいました。電話では、お正月のお金がないと、淋しそうでした。誰だって年末に大きな買物をします。そういう融通をつけられないのがまだまだいたらないところです。
利用者の中には、自分のおこづかい専用の口座を開設している人がいます。支援者が定期的にその人のメイン口座から一定額をこづかい用の口座に移動します。利用者はそこから自由におこづかいをおろします。そのためコンビニでその都度、お金をおろすことがあり手数料ばかりがかさんだこともありました。今は上手におろすようになりました。利用者は、手数料がかかっても自由に引き出せることがいいと言います。
「金銭管理」というと無駄遣いをしないことばかりを意識してしまいます。自分で稼いだお金を上手に有意義に使えるようなお手伝い、工夫をしていかなければいけません。