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あいさつをしないと怒られるけど…
「ほらっ、しっかりあいさつしなさい」「なんであいさつしないの、いつもしてるでしょう」「早く、あいさつして」
養護学校で生徒にお会いしたときや、他の事業所で利用者にお会いしたときに、学校の先生や事業所の支援者からよく聞く言葉です。
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。仕事がら学校や他の事業所を訪問して、障がいのある人とお会いします。ほとんどの場合、私は、あらかじめ会う人がどんな人か、もしくは会う目的を知っています。
初めての人に会う不安
しかし、先方の生徒や利用者は、私のことを知りません。一応、誰と何の目的で会うのか説明はされていると思います。しかし、それを十分に理解しているとはかぎりません。
先方の生徒や利用者は、不安げな表情で面接・面談の場にやって来ます。また初めて会う私のことを、この人は誰だろう、何しに来たんだろう、私はなんでこの部屋に連れて来られたんだろう、そんなふうに見ています。もしかしたら、怒られるのかもしれないと思っているかもしれません。
そう思っていた矢先に、先生や支援者から、あいさつをしなさいと、注意されます。嫌な予感は的中したことになります。
あいさつは、私と相手の問題
先生や支援者は、礼儀は大切とか、私は常にそれを教えていますということを私にアピールしているのかもしれません。もしくは、自分が怠慢だと思われるのではないかと心配しているのかもしれません。
しかし、学校の生徒や事業所の利用者からすれば、これから何が始まるのかわからず緊張している場面で、いつもどおり、にこやかにすることは難しいでしょう。
私も、あいさつは大事だと思っています。またあいさつをしなくて良いとは思っていません。しかし、あいさつをするしないは、私と相手の問題です。初対面、その一言目にあいさつができなくてもかまいません。次回に会ったときにあいさつができたら良いと思います。また、そのときにあいさつができなくても問題ありません。その次にできればそれで良いです。
私からお願いします
初めての面接・面談の最後にお願いをします。「次に会うときに、あいさつしてもらえたらうれしいなぁ」
次回、会ったとき、あいさつがなかったらこんな会話から始めます。「ねぇ、この前の約束、覚えているかなぁ…」
あいさつをしてもしなくてもそれはきっかけになります。しかし、そこで先生や支援者が、「あいさつは?」と注意をすると、私と相手の間に壁ができます。また相手との距離が遠くなります。
自分も気をつけよう
面接・面談の席で、生徒や利用者が、先生や支援者に言われてからあいさつをしたからと言って、その先生や支援者の評価が上がるわけではありません。先生も支援者もそこには気がついていません。
しかし、私も反対の立場だとつい、同じことを言ってしまいます。言ってから「あっ、余計な一言だった」と、いつも反省しています。