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「強み」は「弱み」

どんなことにでも「はーい」と返事をして取り組んでくれる利用者がいます。その人とは、20年くらいのお付き合いになります。その人が「イヤ」と言ったり、怒ったりする場面を見たことがありません。そこに支援者が甘えていることがあります。

私は障がいのある人が利用する事業所を経営しています。今は、理事長です。しかし、もともとは現場の支援者です。私たち支援者は、事業所を利用してくれる利用者の皆さんに支えられて、毎日の活動を実施することができています。しかし、支援者は、それを忘れて利用者にいろいろなことをお願いします。

私も反省することがあります。

ストレングス(強み)に着目するとは

私が行っている事業は、「障害福祉サービス」と言います。障がいのある人たちが暮らしやすいように支援をします。しかし、支援者の中には「訓練」をさせようとする人がいます。また、利用者に「役割」という名目でいろいろなことを手伝わせることがあります。例えば、ゴミ出し、荷物持ち、荷物運び、洗濯干しなどです。

私たち支援者は、研修で「利用者のできないことではなく、できることに注目しましょう、そこが伸びていくように支援しましょう」と習います。専門的には、ストレングス(強み)に着目をした支援と言われます。支援者は、そこを勘違いしています。

利用者のストレングスに着目し、その行動がグループへの貢献につながり、感謝され、それが本人の自信につながるような支援は必要です。しかし、支援者がそこに甘えてはいけません。「役割」だからと言って一方的にやらせてはいけません。

これは私の反省です。今の季節になると思い出すことがあります。

利用者は断ることができない

以前、私がかかわっていた利用者は、水を触っていることが好きでした。そこで、食後の洗い物をお願いしました。ご本人は毎日、積極的に取り組んでくれました。私は、食器洗い洗剤を使いすぎるなぁ、そんなことしか気にならず、毎日、その人に洗い物をお願いしていました。

ある日、別の支援者が、その利用者の手がガサガサでひび割れていることに気がつきました。指先や指の関節がパックリ割れて固くなっていました。その人は、それでも洗い物をすることがやめられなくなっていました。

このように一度習慣になってしまうとやめられなくなってしまう人がいます。また、冒頭のやり取りのように頼まれるとなんでも引き受けてくれる人がいます。今までの経験から、断ると怒られると思っている人もいます。

「強み」の裏にある「弱み」

どんなことでも積極的に取り組むことができるということはその人の強みです。そこに注目をして活躍できる場面を支援するということは必要な支援です。しかし、その反面、「断ることができない」という「弱み」が同居していることを忘れてはいけません

どんなに注意しても、福祉サービスにおける力関係は支援者優位です。自分は優位に立ってしまっているから気をつけよう、それぐらいの気持ちが必要です。

この季節になると、思い出す反省です。




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