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とりちがえ事件①
とりちがえ事件がありました。私の仕事ならではの事件です。
私は障がいのある人が利用する事業所を経営しています。その事業所の一つで、利用者の靴のとりちがえがありました。また、調べていくと今回は、何重にもとりちがえられていることがわかってきました。奥が深い事件です。
靴のとりちがえ
今回の靴のとりちがえは、利用者の家族からの連絡により発覚をしました。また、靴を間違えたということは、本来の持ち主がいるはずです。しかし、その持ち主が見つかりませんでした。
靴をとりちがえた場合、女性利用者は比較的早く発覚します。それぞれカラフルな靴を履いています。しかし、男性利用者の多くは、同じような黒い靴を履いています。また、家族が名前を書いてくれます。ただし、それもすぐに消えてしまいます。そのため男性利用者の靴のとりちがえはなかなか見つかりません。
とりちがえが起きると、支援者は、同じサイズの靴を履いている、もしくは同じようなデザインの靴を履いている利用者に確認をします。しかし、支援者が想定するほど簡単には見つかりません。以前、どうしたらその靴を履けるの、と思うようなサイズ違いを履いていることがありました。
靴を履きちがえるとき
靴のとりちがえが発生する状況が幾つかあります。一つは、玄関に脱ぎっぱなしの靴を履いて帰ってしまう場合です。原則、靴は、げた箱にしまいます。しかし、靴をしまい忘れ、それを支援者が見落としていると違う利用者がその靴を履いて帰ってしまいます。
そのあと、玄関に靴を脱ぎ忘れた人が、自分の靴がないことに気がついてくれれば一発で事態が発覚し解決に至ります。しかし、最初に靴を脱ぎ忘れた人が、自分の靴と似たような靴を履いて帰ってしまうとわからなくなります。さらに、その人がグループホームで生活をしていると発覚が遅れます。
また、とんでもないサイズの靴を履いて帰った事件がありました。自分の足のサイズよりも2cm小さいサイズの靴を履いて帰りました。その利用者は、几帳面な人で、毎日、必ず同じ場所に靴をしまいます。その位置がずれていたのではないかと思っています。
いろいろなことが起きます
玄関に靴を脱ぎ忘れる利用者もいれば、玄関に靴が置かれていると、律儀にげた箱にしまってくれる利用者がいます。たとえば来客が玄関の隅に靴を並べて置くとそれをげた箱にしまってくれます。私が来客を見送りに玄関に出ると、あれっ?靴がない、ということがあります。靴は、げた箱の空いたところにしまわれています。
ときどき、一人分しか空いていないところに二人分の靴を押し込むことがあります。そうすると、もともとしまわれていた靴の位置がずれます。そこから靴のとりちがえが始まります。2cmちがう靴を履いて帰ってしまった人は、たぶん靴の位置がずれていたのだと思います。
靴のとりちがえはこの仕事ならではのハプニングです。また、以前、事業所の旅行中に予想外のとりちがえ事件がありました。(つづく)