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「働き方改革」は難しい
福祉サービスを提供する事業所において支援者(従業員)の長時間労働と休憩時間の確保は大きな課題です。
障がい者支援の事業所では同性介護が原則です。行政からも同性介護をするように指導を受けています。しかし、そのとおりに事業を実施すると労働法を順守することができません。
小さな事業所は、支援者が2人か3人です。たとえば支援者の男女比が男2人、女1人だとします。そうすると女性職員が休憩している間は女性利用者さんのトイレ介助ができません。休憩時間はその場を離れて自由にすごすことができます。しかし、いつ呼ばれてもいいように休憩室で待機しているとそれは休憩あつかいになりません。
今年の4月から改正労働安全衛生法が施行され、雇用者は労働者の客観的な勤務時間の把握だけでなく健康管理の観点からも労働を管理しなければならなくなりました。それは大切な視点です。しかし現実的ではありません。
労働者(支援者)3人の事業所も福祉法の指定基準を満たし、認可を受けて事業を実施しています。これが縦割り行政の問題点です。
利用者さんにとっての休憩時間についても説明します。李勝者さんの中には休憩時間が苦手な人もいます。静かに作業に集中していた方が好きな人たちです。決められた工程を繰り返していることが得意で心地よいと感じる人たちです。その人たちは、休み時間になり他の利用者さん達が活発に動き出すと耳をふさいで困った表情をします。
大半の利用者さんは休憩時間が大好きです。なかには作業の一工程が終わるたび、「休憩、休憩」、と連呼してソファにダッシュする利用者さんもいます。みんなから、「あっ、働き方改革してる」とつっこまれています。
以前、労働基準監督署の方は、「利用者が休んでいるときに休めばいいんです」と言われました。それができないのがこの仕事です。