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話を聴くとは
話を聴くというのは大変難しいことです。
ある利用者さんから相談がありました。グループホームの支援者が話を聴いてくれないというのです。支援者に確認をすると、夕飯の時やその後に時間を作ってじっくり話を聴くようにしています、と言うのです。しかし、ご本人はあまり話したがらないとのことでした。
そこで様子を見に行きました。
相談をしてきた利用者さんが帰ってきたとき、ホームは他の利用者さんの入浴支援でバタバタしていました。相談をしてきた利用者さんは支援者に向かって日中活動でのことや連絡などを口にして2階に上がって行ってしまいました。支援者はごめんね、あとで聞くね、と言いながら浴室に入っていきました。
話を聴いて欲しいという利用者さんも特別なことを要求しているわけではありません。また、支援者も無視しているわけではありません。グループホームという形態の中では限界があります。このケースで言えば、一定時間の間に入浴を済ませなければいけないので、会話が後回しになってしまっています。
話を聴くというのは大変難しいことです。支援者が注意しなければいけないのは、話を聴くという行為は、話したいときにその話を聴くということです。あとから、今日、何かあった?と聞くことではありません。
支援者は、せっかく時間を作ったのに話をしてくれないと言っています。利用者さんは支援者が話を聴いてくれないと言っています。まったくすれ違っています。これは私たちが話を聴くという行為について誤解をしているからです。
話を聴くというのは、あらためて時間を作って聞くのではなく、聴いて欲しい時にちょっと耳を傾けることです。この違いを意識しなければいけないということを学びました。