Adler Festo 講演より/ネガティブ情報と自己覚知
09月21日、早稲田大学で開催された「第5回アドラーフェスト」にて行われた向後先生の講演「“態度”をアドラー心理学から捉えてみた」をふりかえり、実際の支援場面と結びつけて考えます。
社会福祉を学ぶ学科に社会福祉援助技術論というのがあります。そのテキストに、援助者は自己覚知が必要であると書かれています。援助者は利用者のあるがままを受け止めることが求められます。そのため、援助者は自己覚知により自分の意識の癖を知る必要があるいいます。今回の向後先生の講演では、人の脳はネガティブ情報に敏感作られているということを学びました。これは自己覚知の説明を補完する大切な情報でした。
支援場面においては、利用者のストレングス(個人が持つ強み)に着目して支援をします。また、アドラー心理学を基本とする子育てにおける親の育成プログラム パセージでは、正の注目と言うのがあります。共通する部分があります。さらにパセージではネガティブ感情にあたる負の注目とセットで学びます。
私たちの意識はネガティブ情報に支配されやすくできています。ネガティブ情報を取り入れ、すぐにネガティブ感情を発動させてしまいます。今回の講演では、ネガティブ情報を確認したら自らの意思でやり過ごすことが大切だと教わりました。
支援者は、利用者の行動が支援者の規範に反するとそれをネガティブ情報として敏感に反応します。このとき、支援者が照らし合わせる規範は自己理想・自己概念です。それは支援者固有の信念です。そのまま支援を続けると偏った支援に、さらには相手の人権を侵害するような事態に陥ることがあります。
向後先生は、現実と自分の信念を比較し意識できない自分の信念を明確にすることが必要であるといいます。
私たち支援者は、自分がネガティブ感情を発動しやすいスイッチを自己覚知しておくことが必要だということを今回の講演で学びました。