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待っていてくれる人がいる幸せ
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。経営とはいえ、半分は現場の職員です。今日は、福祉サービスの仕事に就いていて、嬉しかったことを書きます。
きょう私は、腰の手術を終えて2週間ぶりに出勤をしました。ひさしぶりということもあり、たくさんの利用者が私に話しかけてきてくれました。
私の仕事は、法人の本部で事務仕事をしたり、事業所を巡回して利用者の話を聴いたりすることです。今日は、2週間ぶりの仕事だったので、メールや郵便物、未決裁案件を処理する予定でいました。ところが、法人の本部に利用者がひっきりなしに顔を出して話し込んでいくので、それだけで一日が終わってしまいました。
法人の本部は日中活動事業所の中にあります。私の法人の特徴は、利用者が自由に事務室に出入りすることです。福祉サービスを提供する事業所の多くは、利用者が事務室に入ることを禁じています。私の法人はゆるいので、そこが自由です。おかげで事務的な法人の本部がいつも和やかなムードに包まれています。そのかわり、ときどき、うるさすぎて仕事にならないことがあります。
今日、私がパソコンの前に座っていると入れ替わり立ち代わり利用者が来て話しかけてくれました。
「あっ、髙橋くんだ、どうしたの?」
「大丈夫、待ってたよ」
「もう、何してたのよー心配したんだからね」
「風邪?」
私がお腹に巻いたコルセットを見せると、
「お腹痛い?ゲリしちゃった?」
大きな腹巻だと思ったようです。これがいつもの会話です。楽しくてホッとした一日になりました。
以前は、利用者と一緒にしていろいろな活動をしていました。買物に行ったり、日帰り外出などもしていました。しかし、最近の私は、座っているばかりです。それでも外出の前になると「なんで髙橋くん、行かないの、一緒に行こうよ」と声をかけてくれます。
今回の手術でたくさん歩けるようになりました。しかし、まだ急に立ち止まったり、振り返ったり、体をまげることができません。それでも、少し光が見えてきました。利用者と一緒に外出することを目指してがんばります。
待っていてくれる人たちがたくさんいる、とても幸せなことです。そんなことを実感する一日になりました。