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上からきつく注意をしたときと、横からお願いをしたとき
「髙橋さん、また怒られちゃったよ…」、利用者から電話がかかってきました。その利用者は、日中活動先で支援者に注意され、さらにそのことを連絡帳に書かれてしまい、グループホームに帰りづらくなっていました。
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。私の社会福祉法人では、相談支援、日中活動、グループホーム事業を実施しています。その中のグループホーム利用者から電話がかかってきました。
利用者からの電話、怒られちゃったよ…
その利用者は、昼間は別の法人の日中活動を利用して、夜は私の法人のグループホームを利用しています。また、日中活動へは、一人で一般の交通機関を使って行っています。その道中、バスを降りた後、横断歩道のない道路を横断してしまい、それを他の利用者に見られてしまいました。さらにそれを日中活動の支援者に報告されてしまったとのことです。
また、その日中活動で担当の支援者に注意をされ、さらに連絡帳に「グループホームでも注意するように言ってください」と書かれたと言います。本人は「またグループホームでも怒られるかなぁ…」としょんぼりしていました。
とりあえず「理事長に注意された」と伝えたら…
私が、道路を横切ったことについて聞くと、「もうしませんから」を繰り返していました。私からは、事故に会うと困るから横断歩道を渡っていただくようにお願いをし、グループホームの支援者には、私から電話をしておくことにしました。
また、本人は、明日、日中活動の支援者にはなんて言ったらいいか、と気にしていたので「理事長に注意された」と言っておけば…と、伝えました。こういうときは、「理事長」というのが役に立ちます。
それで安心したのか、電話はそれで終わりました。私は、グループホームに電話をして担当の支援者に、本人が不安に思っているということと、私が本人に危険を伝えたのでグループホームからは何も言わなくていいといいました。しかし、きっと本人から、話し出すことと思います。
この利用者が、横断歩道のない所を横切るのは頻繁にあることでその都度、このくだりを繰り返しています。横断歩道のない道路を横切るのは危険なことです。利用者によっては、いろいろな人から同じことを注意されると、不安が大きくなってひどく落ち込む人がいます。一回、注意されたらそれでおしまいです。
注意するより頼んでみる
注意をする人は、何かきつい言葉を言うことで支援をした気になっています。しかし、言葉で注意をして改善されることはほとんどありません。たとえば、支援者が「何回、言えばわかるんだ!」と、怒鳴りつければ、利用者より上に立つことができ、立派に見えるかもしれません。しかし、それは支援ではなく支配です。
支援者が「頼むよう、横断歩道を渡ってよう、心配だよう」と、頭を下げると、他の支援者からは甘やかしていると非難を受けることがあります。しかし、怒鳴っても、頼んでもすぐには改善されません。それなら利用者が安心できる言葉を選んだ方が最善です。不安が大きくなると眠れなくなることがあります。頼まれたときはどうでしょう、眠れなくなるほど不安になることはないと思います。
安心して眠れる生活を保障する、生活支援では、そこが重要だと思います。
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