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名刺交換
朝、いつものように事務室で仕事をしていると、利用者の一人が話しかけてくれました。毎朝、必ず話しかけてくれる利用者です。
利用者「髙橋くん、髙橋くん」
私「おはようございます」
利用者「これ、はいっ」
利用者が、一枚の紙を私にくれました。そこには、その利用者の名前が書いてありました。それは、手作りの名刺でした。私はあわてて自分の名刺を取り出し、名刺交換をさせていただきました。
写真を撮らせていただくことと、私は片手で名刺を渡すことを断って、写真を撮らせていただきました。あわてたのでぶれてしまいました。
前の職場でいただいた班長の名刺
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。今は、理事長です。しかし、もともとは現場の職員です。専門学校を卒業して、今とは別の事業所に就職をしました。そこは、小さな事業所で無農薬の野菜を作っていました。
就職をする前のことです。私は、事業所に見学に行きました。そのとき、支援者からだけでなく、数名の利用者からも名刺をいただきました。そこには、「〇〇班班長」という肩書が書かれていました。
プリントゴッコで名刺を作る
私は、平成元年に今の事業所に就職をしました。そのとき、前の職場でのことを思い出し、利用者全員分の名刺を作りました。まだパソコンもプリンターもないころです。厚紙にプリントゴッコで印刷をしました。完成度も良く、利用者も喜んでくれました。しかし、大きな誤算がありました。
前の職場では、肩書のある利用者が名刺を持っていました。つまり、経験を積んだ利用者です。まだ若かった私は、そこまで考えず、全員に名刺を渡しました。その結果、一人の利用者が、その日の帰り道に商店街のお店一軒一軒に立ち寄り名刺を配りました。名刺は、一日でなくなりました。
翌朝、その利用者からは、「髙橋さん、終わりました」と、報告がありました。商店街の人に、あとから聞いた話では「これでーす、お願いしまーす」と言って渡して行ったとのことでした。
その反省から、その後は法人の評議員になっていただいた利用者に名刺を作ってお渡ししています。今は、私が勉強会の講師を頼まれたときのサポートや広報活動のときにごあいさつできるようにしています。
朝の名刺交換の後のこと
今日のお昼前のことです。朝、名刺交換をした利用者が私のところに来て、私に言いました。
利用者「髙橋くーん、これ、いいわっ」
私の名刺が戻ってきました。