個人情報を収集するときの注意
福祉職にとって個人情報のあつかいは慎重に行なわなければいけない業務の一つです。しかし、まだまだ慎重さが足りません。目的がわからず、慣習的に聞いてしまっている個人情報があります。
個人情報のあつかいについて
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人の支援者には、年に一回、事業所ごとの会議の中で個人情報の取扱いに関する研修を行います。個人情報保護法において、個人情報を聞くときはその個人情報を聞く目的(個人情報の使い道)を明確にしなければいけないと定められています。そこがあいまいになりがちです。
今の私は、理事長業務が中心です。しかし、以前は直接支援を行う支援者でした。そのころの事業所は今以上に規模が小さく、支援者があらゆる事務作業を兼務していました。20年ぐらい前のことです。そのころの私にはまだ「個人情報」という概念が宿っていませんでした。
個人情報の概念がなかったころ
障がいのある人は、その障害に応じてそれを記す手帳を所持しています。事業所は、サービスを提供するためにそこに書かれた情報が必要です。そのため、その手帳のコピーをいただきます。それは、Aレベルの個人情報です。
現場にいたころの私は、なんの躊躇もなくその手帳を複数枚コピーしていました。理由は、紛失したときのためです。まず必要以上にコピーをすることが問題です。さらに紛失することを前提にしているのはもっと問題です。今は、利用者の皆さんの情報をコピーするときは、厳重にチェックしています。
様式に書かれた情報を聞くとき
しかし、個人情報の管理が厳重になった今でも見落としがあります。たとえば様式に書かれた情報を聞くときです。
利用者の支援を始める前は、ご本人やご家族に調査票を書いていただきます。また、面接をしながら面接シートをうめていきます。最近は、インターネットでそれらの様式を簡単に入手することができます。ダウンロードしたものをベースにして自分たちなりの様式を作ります。ただし、そのときに注意が必要です。
ダウンロードをした様式には、絶対必要な情報を書く欄と聞いておいた方が良い情報を書く欄が混在しています。それらを区別しなければいけません。聞く情報はすべて目的が必要です。「なにかあるといけないから」だけで聞いてはいけません。
家族の生年月日は必要か
今日の支援者会議で、利用者の基本台帳の様式の見直しが行われました。従来の様式には利用者家族の生年月日を書く欄がありました。それについて、それが必要かどうかという議論がされました。だいじな議論です。また、議論を交わすことがだいじです。
私は、利用者の家族のおおよその世代を知っておいた方が良いと思います。利用者の家族の世代を知ることで次に必要な支援の予測がつきます。送迎の問題、住まいの問題、後見人のことなどがあります。また、家族の急変についても対応ができます。
このように情報を集めるときはその情報がなぜ必要なのか、意識することがだいじです。
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