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「なんで?」
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。その事業所に「なんで?」が口ぐせの人がいます。
私が事務室にいるとき、作業の休み時間になると、入れ替わり立ち代わりで利用している人が話をしに来てくれます。その中の一人の口ぐせが「なんで?」です。その人が私に「午後は?」(私の午後の予定を聞いています)と聞くので、私が「会議」と答えると「なんで?」と言います。「外、寒いかなぁ?」と聞くから「髙橋くんは寒いよ」と答えると「なんで?」と言われます。
「なんで?」は日に何度も聞かれます。同じ質問も繰り返されます。しかし、この「なんで?」ひとつひとつに目的があります。私にとってはささいなことでも、その人にとっては大事なことです。
私の午後の予定を気にするのは、私が会議をしていると、私と会話をすることができないからです。外の気温を気にするのは、その人はいつも薄着でいたいからです。しかし、薄着で事業所に来ると支援者から「またそんなかっこで来て」と言われてしまいます。納得できないことがあると私の所に問いかけます。「なんで?」
納得できないことがいっぱいあります。それは私たちの説明がいつも不十分だからです。私たちは、これから何かしようとすることや、その人に関係することは丁寧に説明をします。しかし、他人に起きていることやありきたりすぎることへの説明は省略する傾向にあります。しかし、他人の行動に疑問を持つのは普通のことです。
「なんで?」と問いかけてくれるおかげで、私は「あっ、勝手に進めてごめんね」と気づくことができます。しかし、中には問いかけることができず、ただ立ち止まっている人もいます。そのとき、私たちは目的もはっきりしないまま急かしてしまうことがあります。
今日も「なんで?」といっぱい聞かれてしまいました。説明上手にならなければいけません。