バスの中での失敗から
Go To トラベルキャンペーンが始まり、テレビで報道されるようになりました。事業所の利用者から、今年の旅行どうするの?、という質問があります。しかし、今年の事業所の旅行は、中止です。
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。事業所では、毎年、旅行があります。利用者は、その旅行を楽しみにしてくれています。しかし、今年はコロナ禍の影響で、中止することにしました。
一般の交通機関で学ぶ
事業所で実施する旅行は、利用者にとってはレジャーです。また支援者にとっては、社会性を身につける良い機会になります。ガイドヘルパーと違い、日中活動の事業所やグループホームで働く支援者は、原則、事業所に来た人の支援です。利用者と一緒に一般の交通機関を使うことはあまりありません。そのため、一般の交通機関を使って実施する旅行は、学ぶことがたくさんあります。
支援者は、利用者のことを第一に考えて支援をします。しかし、次第にそれが、考えて支援しているつもり、に変わっていきます。利用者のための支援が、支援者にとって都合の良い支援に変わっていきます。
まずは、一般の交通機関、路線バスの中での私の失敗です。
バスの中でトイレに行きたくなったら
私が失敗した事例は、バスの中でのできごとです。このときは、旅行ではなく、バスに乗っての買物でした。
その日のバスは、ほどほどの混雑で、私とその利用者は、バス中ほどの出口付近に立っていました。出発して5分ぐらいしたころ、目的地までは半分ぐらいのところでした。利用者が「おしっこ、トイレ行く」と言い始めました。それも何回も繰り返していました。
トイレは出発前に行きました。今までの状況からこの利用者は、目的地まではトイレに行かなくても大丈夫だということが、支援者間の共通認識でした。また、この利用者は、頻繁に「トイレ行く」という言葉を繰り返すことがありました。そのようなことから、私は、バスの中で利用者が「トイレ行く」と言うたびに「さっき行ったから大丈夫」とか「もう少しだからね」と答えていました。
言われて気づく
そのとき、私たちの前に座っていた女性が教えてくれました。
「大変ね、次のバス停の前にコンビニがあるからそこでトイレを借りれますよ。ここは(このバス路線は)、バスがいっぱい通るから、トイレに行っている間に次のバスが来ますよ。」
私は、目的地に行くことしか考えていませんでした。トイレをがまんするのは大変つらいことです。その気持ちに寄添っていませんでした。また、私は、あとどれくらいで目的地に着くということがわかっています。自分の体であれば、あとどれくらいはがまんできる、ということが予測できます。しかし、利用者はその予測が苦手です。自分勝手な支援でした。
社会で福祉を学ぶ
この私の失敗は、旅行ではありません。しかし、私の中では、印象に残っている失敗です。一般の交通機関を使うことで、社会の中における福祉を学ぶことができます。
明日は、旅行に行ったときの新幹線の中でのできごとを書きます。
以前、利用者と一緒に行く旅行について、noteに書きました。よろしければご覧ください。