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同じ話を何度も聞くわけ
一日、事業所にいると、利用者から同じことを何度もたずねられます。また、そういう利用者が複数います。
ある利用者は、今日の昼食のメニューを繰り返し聞いてきます。ある利用者は、今度、実家に帰る日を確認してきます。ある利用者は今日のグループホームの泊り職員を聞いてきます。多い日は一日に10回以上同じことを聞かれます。
でも、誰にでも聞くわけではありません。自分の期待する答えをきちんと返してくれる人にしか聞きません。中には、「さっきも言ったでしょう」とか、「何度も同じこと聞かないの」と言ってしまう支援者がいます。もしくはパソコンを見ながら、形だけ返事している支援者もいます。次第にそういう支援者には質問をしなくなります。
同じことを聞かれれば、心の中で、「またその話」って思ってしまうこともあります。でもその瞬間、「あっ、いけないこの利用者にとっては大事なことなんだ」と思ってしっかり、いつもと同じことを答えます。
佐藤眞一の「認知症の人の心の中はどうなっているのか?」(光文社新書)に書かれていた解説を思い出しました。引用します。
何度も同じことを尋ねるのは、それがその人にとってとても大事なことであり、気になっているからである。自分がさっき同じことを尋ねたという事実を、覚えていない。大事なことだから気になっているのに、どうなっているかわからない。だから不安になって尋ねる。この繰り返し。したがって安心してもらうのが基本だ。
私の返答で安心してくれているだろうか。でも今日も同じことを聞いてくれるということは、まだ私の返答を楽しみにしてくれているということかもしれない。そう思うと嬉しくなってきます。