話を聴く専門家/傾聴ボランティア
今年度から傾聴ボランティアが来てくれています。
私がちはる塾で研究の勉強をしたことで、福祉サービスを利用されている方々が望むサービスとは何かということを考えるようになりました。
たとえば、日中活動を提供する事業所では、利用者の皆さんがそれぞれの力を発揮できるプログラムを用意します。楽しんで取り組んでいるように見えます。でも本当にそれで満足しているのでしょうか。そんなことを考えるようになりました。
私は主に事務室でパソコンの前に座っています。そこにひっきりなしに利用者が話をしに来てくれます。私が、事業所を巡回すると利用者の皆さんが私を囲んでいろいろな話をしてくれます。私にとってはとても幸せな時間です。
そんなやり取りの中で感じたことは、利用者は「何か活動がしたい」、という欲求と同様に「誰かと話をしたい」という欲求が強いということです。そこで思いついたのが、傾聴ボランティアという活動をしている人たちです。
戸塚区社会福祉協議会に相談をするとさっそくお一人紹介をしてくださいました。今は週に一回、事業所に来て利用者と話をしてくださっています。グループでお話をすることもあれば会議室で個別に話をすることもあります。最近では、「話したいことがあるんだ」と、心待ちにしている利用者もいます。
私たち支援者と利用者の会話には文脈があります。その文脈に基づいていろいろな憶測をすることがあります。しかし傾聴ボランティアはちがいます。その瞬間そのものを受け止めてくれます。さらにそこで聴いた話が私たちに明かされることもありません。傾聴ボランティアさんには、抱えきれないことがあったら教えてください、とお願いをしています。
ある日、一人の男性利用者が傾聴ボランティアさんと話をするんだ、と朝から待ち構えていました。支援者はいったい何があったのだろうとドキドキしていました。傾聴ボランティアさんとの話が終わり、支援者の一人が利用者に、ねぇ、なに話したの?って聞くと、「ヒミツ」と返されていました。
大事な存在です。
研究の話になります。研究を学び始めてから、あれってどうしてなのかなぁ、という視点が増えました。これも一つの成果です。