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困っているように見えない人
グループホーム入居にしてくれる人が内定しました。今度、入居してくださる人は、生活能力が高く、誰かと何かを一緒に行なうというより、一人で自分流に行動すること好きな人です。なんでも一人でできてしまう分、支援者の意識が向かないところがあります。気をつけなければいけないのは、なんでも一人でできてしまうということは、困っていても助けを求めることができていないことがあるということです。
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人の事業所にグループホームが4つあります。グループホームでは知的な障がいがある6人が支援者と一緒に共同生活をしています。そのグループホーム一つに空きができ、今回、新しい人の利用が決まりました。
グループホームに空きができました
今月の初めのnoteに「スモールステップで夢を実現させた彼の話」という記事を書きました。
私の法人のグループホームに入居していた人が、自立型のグループホームに引っ越しをしたことで空き部屋ができました。
グループホームは、空き部屋になるとその部屋の家賃を法人が負担しなければいけません。そのためできるだけ早く次の入居者を決めなければいけません。ただし、重要なことはすでに生活をしている人の相性です。
相性第一で考えます
グループホームは、共同生活です。一緒に生活をする人と相性が悪いとトラブルが起きます。そのため、従来は体験宿泊等を繰り返してから入居者を決定します。しかし、今の社会情勢では、複数の人に体験をしてもらうことはリスクがあります。そこで今回は、内部の推薦で入居者を決めました。
前回、空き部屋ができたときは、10人の申込がありました。その中から書類選考で5人にしぼり、日中の活動の様子を見学に行き3人、その3人に交代で夕食を食べに来ていただき、最終的に2人の体験宿泊を行いました。そこまで慎重に決めます。入居している人同士の相性が第一です。
今回の人は、法人設立前からの利用者です。そのため利用者同士は知合いです。反対に、グループホームの支援者との付き合いがありません。
困っている感が伝わらない辛さ
新しく入居してくれる人は、生活能力が高い人です。電気調理器を使って食事を作ります。また、掃除や水仕事は得意中の得意です。どこに行ってもその場の状況をみて生活を始めます。しかし、コミュニケーションが苦手です。また、なんでも自分でできてしまうため、困っている感が伝わってきません。周囲の人は安心感から意識が薄くなります。
その場その場で、常に解決策を見つけて行動します。ただし、その対処方法が支援者の常識とずれていることがあります。それを見つけると支援者は「なんで、そんなことをするの」と問い詰めます。本人は、自分にとって最善の策をとったはずなのに怒られるという理不尽さが生じます。
「意識して見る」を意識する
支援者は、困っているとき「困っています」と意思表示をしてくれることを望みます。支援者は、それが本人のためだと思っています。確かに、困っているときに「困っています」と言えた方が良いと思います。しかし、支援者のその思いの裏側には「勝手なことをされる前にどうにかしたい」という心理が隠れています。
私たちの仕事は、予測することです。予測するためには、意識して見なければいけません。意識して見るというのはジロジロ見る、いつも見ている(監視)ということではありません。さりげなく、かつ考えながら見ることです。今回の利用をきっかけにあらためてこの「意識して見る」を意識するように心がけていきます。
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