今日はどこに泊るの?
金曜日になると、今日は実家に帰るとか、グループホームに帰るとか、それを確認に来たり報告に来る利用者が数名います。グループホームに入居していて、まだ実家がある人はおおむね一週おきに帰省します。それを楽しみにしています。
私は障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。私の法人には、相談支援事業所と日中活動、グループホームがあります。利用者にとって週末をどこですごすかそれが大きな関心ごとです。
週末の定番やり取り
実家に帰る利用者は、日中活動の最中に私のところに来て「今日、帰りまーす。」と、報告をしてくれます。私が「えっー帰っちゃうの…グループホームに泊ってよぅ。」とふざけると、「あっ、いいです、いいです、帰りますんで。」と言って出て行きます。
グループホームで生活をする人は、帰省を楽しみにしている人がたくさんいます。実家がある人は、おおむね隔週で実家に帰省します。しかし、この生活リズムが定着するまでは、何度もハプニングがあります。
えっ!?、帰っちゃったの…。
利用者によっては、グループホームに慣れるまでの間、知らぬ間にグループホームを抜け出して実家に帰ってしまうことがありました。ある利用者は、私が他の入居者の入浴支援をしている間に実家に帰ってしまいました。その利用者は、お風呂に入ってご飯を食べたあと、自分の部屋に行きました。私は、そのまま自分の部屋にいると思っていました。しかし、家に帰ってしまいました。また、最悪なことに私は、その利用者のご家族から電話がかかって来て初めて利用者がいないこと気がついた始末です。
グループホームを利用している人すべてが、グループホームで生活することに納得しているわけではありません。中には、家族に説得されてグループホームに入居している人がいます。できることなら実家に帰りたいと思っています。また、グループホームは「家」という特性のため特別なセキュリティもなく、出入りが自由です。そのため、帰りたいときと帰れてしまいます。
帰られると困ります
利用者によっては、グループホームを抜け出して実家に帰ったところ、家族に説得されてグループホームに戻って来る人がいます。また、私が車で迎えに行ったこともあります。私たちは、できるだけグループホームに泊ってもらいたいと思っています。また泊ってもらわないと困ります。
グループホームの報酬は、出来高制です。実際に利用者が泊った分しか、報酬を請求することができません。入居契約を結んでいても、利用がない分は収入になりません。だからといって、空いている部屋に他の人を泊まらせて収入を得ることもできません。そのため、少しでも収入を得るために迎えに行くこともします。
支援は、利用者の意思を尊重するのが大原則です。しかし、グループホームの帰省については、一日でも多く泊まっていただくよう、お願いをしたり説得を続けています。