旅行より日常がいい…
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。日々、利用者の皆さんと一緒に活動をしたり、話を聞いたり、生活の手伝いをさせていただいています。そこで学ぶことは、私が良いと思うことを相手も良いと感じるわけではない、という当たり前のことです。
毎年、事業所で旅行に行っていました。しかし、今年は、コロナの影響で事業所の旅行が難しくなってきました。それでなくても、最近は、いろいろな事情があり、旅行規模が縮小されています。今日は、その事情をnoteに書きます。
二泊三日から一泊二日へ
事業所では、年に一回、一泊二日の旅行を実施します。しかし、以前は、二泊三日でした。二泊三日と比べて一泊二日だと、行かれる場所が限定され、利用者に行き先を提案すると、「そこ行った」とか「そこあきた」と言われてしまいます。
しかし、二泊三日にできない理由があります。
旅行に行きたくない人もいます
一般的に、旅行は楽しいもの、という認識があります。しかし、利用者の中には、旅行が苦手な人がいます。その苦手は、行きたいところが明確でそれ以外は行きたくない、集団行動が苦手、観光が好きではない、気持ち的に入れない場所があるなど様々です。
以前、旅行の当日、ご家族が嫌がる利用者を無理やり集合場所まで連れて来たことがありました。支援者も、親と離れればなんとかなる、そういう思いで半ば強引に連れて行きました。そのとき、ご本人にはこう言います。
「大丈夫、行けば楽しいから」
しかし、それは間違いでした。利用者は仕方なく付いて行っているだけでした。
観光が苦手
じっとしていることが苦手な人がいます。そういう人にとって観光地の動物のショーは苦痛です。しかし、そこに座っていなければいけません。あきてしまいウトウトすると、支援者に「○○さん、ホラ、見て見て、イルカが飛ぶよ!」と声をかけられます。利用者本人にしてみれば迷惑です。
当時の私は、自分のこととして考えることができませでした。私も動物のショーには興味がありません。家族で出かけても、一人離れて本を読んでいます。私は、一人で自由行動がゆるされます。そこで自由行動をできないのが事業所の旅行のつらいところです。
いつもがいい
また、日常の生活パターンがくずれるのが嫌な人がいます。平日は、事業所に出かけ、日課をこなすことを好みます。そのような人は、次に何が起きるかわからないことも不安です。旅行の行程を言葉で説明をしても、それが現実になりません。旅行に行くより、いつもと同じ生活をするほうが安心します。
最近は、旅行も自由参加になりました。そのため、通常通りに事業所に残る人がいます。旅行に行くグループと事業所に残るグループを作るので、支援者も通常より多く必要になります。そのため、支援者の配置ができず一泊二日の旅行になってしまいました。
私が楽しいと思えることも、人によっては苦痛に感じることがあります。そこを上手に調整していくことも支援です。
また、一泊二日になってしまった理由は、法律上の問題もあります。明日は、法律上の問題についてです。