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手紙
利用者から手紙を頂戴することがあります。そのほとんどは文字や言葉に頼らない手紙です。その人なりの方法で思いが記されています。私は、その人その人に応じた方法でお返しをします。今日は、手紙にまつわるエピソードです。
文字や言葉に頼らない手紙 その1
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。小さな事業所が幾つかあるため、その事業所を定期的に巡回します。その中に日中活動サービスを提供している事業所があります。そこを利用している人からときどき手紙を頂戴します。
私が「見てもいい?」と聞くと、「ダメ、あとで読んで」と言われるので事務室に戻ってから読ませてもらいます。そこには、文字にはならない思いがたくさん綴られています。私は、その日の夜にその人が住むグループホームに電話をしてお礼を言います。また、たまに写真を手紙にして返します。
文字や言葉に頼らない手紙 その2
私は、専門学校卒業後、今とは別の事業所に就職をしました。そこでは、毎日、私に手紙をくれる年配の女性利用者がいました。毎朝、事業所に来ると「髙橋くん、手紙あげます」と言って私に手紙をくれました。そこには、言葉にしたら一言二言の思いが綴られていました。
私は、小さな千代紙の裏に簡単なイラストを描いてそれを返事にさせていただいていました。
暗号のようなメッセージ
また、メッセージをいただくこともありました。ワープロが普及したころのことです。一人の男性利用者が「髙橋くん、ワープロ貸して」というので、ワープロを貸しました。彼は、夢中になって文字を打ったあと、私に印刷を頼みました。私が、感熱紙に印字した紙を彼に渡すと、彼はその紙を確認した後、私にその紙を渡して言いました。
「髙橋くん、俺からのメッセージだから」
そこには、解読が難しい、暗号が書かれていました。
会話とは違うやり取りも楽しいです。しかし、手紙を意図的に使おうとすると対応が難しくなることがあります。
手紙でのやりとりで気をつけること
利用者から頂戴する手紙の中に「髙橋くんだけにお話します」と書かれた手紙があります。その多くは、他の利用者や支援者の愚痴です。その内容は、私しか知ることができないので対応に困ります。そのときは、まずは会って話をしたい旨を返信します。会って話をすると、それで解決をすることがあります。そこで解決しないときは、聞き手を増やしてもう一度、話合いをする機会を設けます。
先日、支援者が新しい利用者に「何かあったら手紙でもいいから教えて」と言っていました。利用者に応じてコミュニケーション手段を選ぶことはだいじです。しかし、手紙でのやり取りは慎重にしなければいけません。
また、手紙をもらうということは、返事を書くということです。手紙をもらった支援者は、返事を書かなければいけません。
デジタルが進化した時代だからこそ、手紙に価値があるように思います。手紙をもらうと嬉しいです。