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「ちょっかいをだす」という言葉でくくる危うさ
私は、障がいのある人への福祉サービスを提供する事業所を経営しています。福祉サービスを提供する事業所は、事業所を利用する方へ個別支援をおこなうために様々な記録をつけます。その記録を読んでいて気になった言葉があります。「ちょっかいを出す」と言う言葉です。
記録に「AさんがBさんにちょっかいを出し…」とありました。さらに、「ちょっかい」という言葉は、いろいろな人の記録に出てきます。また、その記録を書いている支援者は、特定の人ではありません。複数の支援者が「ちょっかい」という言葉を使っていました。私はこの「ちょっかい」という言葉に違和感を感じます。
「ちょっかい」という言葉を検索し意味を調べると、以下のような記述が見つかりました。
① 横合いから手出しや干渉をする。おせっかいをする。
② たわむれに異性に手を出す。特に、男がたわむれ心で女性に言い寄る。ちょっかいをかける。
(出典:三省堂 大辞林 第三版)
具体的にどのような状況だったのか支援者に聞くと、あるケースでは利用者が利用者のことを叩いてしまった、あるケースでは利用者が利用者のことをつっついた、あるケースでは男性利用者が女性利用者のことを触ったなど様々でした。さらに触ったという状況を詳しく調べると、その中には相手を呼びたかっただけではないかと予測されることもありました。利用者の行動には何かを成し遂げたい目的がかくれています。それをすべて「ちょっかい」という言葉でくくってしまうことは危険です。
また、その利用者のご家族の気持ちも考える必要があります。「ちょっかい出す」と指摘された利用者のご家族はとても悲しくなります。親は常に、事業者や他者に迷惑をかけているのではないかと不安な気持ちを持っています。その不安を和らげるのも支援者の仕事です。反対に不安を助長するようなかかわりをしてをいけません。
記録に残すということは、大きな責任が生じます。あいまいな表現やまとめた言葉は、後日、別の人がその記録を読むと違った解釈になることがあります。その結果、その利用者の障害が重たくなり、不必要な投薬がされたり、過剰な支援が行われ、それが虐待につながることもあります。表現や記録には細心の注意を払わなければいけません。
あらためてパセージの心理面の目標を意識します。
<心理面の目標>
1)私は能力がある
2)人々は仲間だ