防災週間/福祉事業所における避難訓練
9月1日、防災の日です。私が小学生だったころは、2学期が始まる9月1日には全校防災訓練がありました。しかし、最近は必ずしもそうではないようです。9月1日に関東大震災があったということさえ、認識が薄れています。
さて、私が経営する法人の事業所では毎月、内容を変えて防災訓練を実施します。今週は、防災週間でもあることから、防災に関することを書きます。
事業所で実施する一番オーソドックスな防災訓練は、建物から避難するというものです。これは学校時代から繰り返し行われてきた防災訓練の形態です。しかし、障がいのある人の中にはこの防災訓練が苦手な人がいます。玄関で大きな声を出し、支援者と押し問答をしています。
建物から屋外に避難するときは、原則、上履きのまま外に避難します。この避難訓練が苦手な人は、上履きのまま外に避難することが嫌な人です。外に出るときは必ず靴を履き替えなければいけません。一度決められたルールを崩すことが苦手です。
支援者は、上履きのまま外に避難させようとします。避難完了までの時間を計っているので、できるだけ早く避難させようとします。しかし、上履きのまま避難するのが嫌な人は靴を履き替えようとします。支援者はそれを止めます。利用者は嫌がって大きな声を出します。
私からすれば、履き替えたいのであれば履き替えて避難した方がスムーズなように思います。しかし、支援者は、一人が履き替えると他にも履き替えたがる人が出て混乱するからダメだと言います。
私たちがしているのは訓練です。本番ではありません。支援者が言うように、最初は、履き替えたがる人が数人いるかもしれません。しかし、障害特性として絶対に履き替えなければ納得できない人以外は、やがて履き替えなくてもすむようになるはずです。
防災訓練において、利用者と支援者の役割は違います。利用者は自分の命を守るために支援者の誘導に従い避難することです。支援者は、自らの命を守りながら、利用者を守るために的確な誘導をすることです。報告書を見ると、「安全に速やかに避難できました」と書いてあります。それは成功かもしれません。しかし、支援者は誘導の訓練だということを意識して、自分は的確に誘導ができたのかどうか、そこを評価しなければいけません。
障害のある方、それぞれの障害特性(こだわり)や障害の状況にあわせた支援と訓練を行うことが課題です。