見出し画像

昔のことを蒸し返して注意しない

「髙橋さん、電話あった?」

以前、ある事業所を紹介したことがある人から、とても不安そうな声で電話がありました。

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。仕事は理事長です。それ以外に同じ地域にある福祉事業所と一緒に事業をしたり、地域住民向けのイベントを実施します。私に電話をくれた人は、地域のイベントで知り合った人です。

就労系の福祉サービス

その人は、軽度な知的障害があります。若いころは、就労をしていました。また、出会ったころは、別の福祉事業所を利用していました。その事業所は、仕事より得意なことを活動にするタイプの事業所でした。その人からは、もっと仕事ができるところに行きたいと相談があり、就労系の事業所を紹介しました。それ以来、ときどき連絡があります。

今は、グループホームに入居して、就労系の福祉サービスを使っています。就労系の福祉サービスは、一般就労ではありません。しかしできるだけ就労に近い形態の福祉サービスを提供する事業所です。

仲間とケンカをして支援者に怒られた

電話で聞いたところによると、一緒に働いている仲間とケンカになり、事業所の支援者に怒られたのことです。そこでその人は、事業所の支援者から私に連絡があったのではないかと心配をして電話をかけてきました。

今回、その人が日中の事業所で怒られたとき、支援者から「前にもそういうことあったよね」と言われたそうです。

その人が、以前に怒られた直後のことです。私が、偶然、その事業所を訪問しました。そのとき、事業所の支援者が、本人がいる前で怒られたことを私に報告してしまいました。その人は、そのことを思い出してしまい、また、今回も私に報告されるのではないかと心配をして電話をかけてきました。

注意しない工夫をしよう

私は、法人の支援姿勢に「注意しない工夫をしよう」と書きました。これは、以前の私自身のふるまいを反省して書いたことです。以前の私は、いっぱい注意をしていました。また、注意をするときには、以前に注意したことを蒸し返し、たたみかけるような注意をしていました。利用者の勇気をくじいてきました。

利用者が何かトラブルを起こしたとき、支援者は「前にもそういうことしたよね」と注意をします。ひどいときは、「何度、同じことを言えばわかるの」と注意をします。しかし、何度も同じことでトラブルを起こすということは、そこが苦手でそこに支援をしなければいけないということです。つまり、支援者が必要な支援を怠ったということになります。当時はそこに気がついていませんでした。

支援者の多くは「注意しなくてどうするんですか」と言います。しかし、「注意をしない!」と決めると支援者も楽になります。

また、注意をしなくなると、利用者がいろいろな話をしてくれます。

いいなと思ったら応援しよう!