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こだわりも大事なライフスタイル

私の職場である生活介護事業所(障がいのある方たちの日中活動先)に、私の子どもが友達と一緒に遊びに来てくれました。子どもたちは不思議なことがいっぱいあったと言っています。その一つに「トイレにはいるときにサングラス」というのがありました。今日はそのことについて書きます。

自閉的な障がいのある方の中には、毎日同じ服を着たり、いつも同じ物を持ったり、いつも同じ動きをしないと納得できない方がいます。他人から見たらそれはどうでもいい行動にしか見えません。だから、他人はその行動を「こだわり」と呼んでしまいます。しかし、ご本人にとっては全て意味のある大切な行動です。

自閉的な障がいがある人は、社会からの刺激をたくさん受けやすいと言われています。また、自閉症は一人でいる方が好き、と言われることがあります。でもこれは間違いです。一人でいる方が好きなのではなく、刺激を受けたくないので一人でいる方が楽なのです。

そのような体質の人にとって、同じ服を毎日着るというのは毎日同じでいられる安心感があります。同じ服は鎧のようなものです。また、毎日同じ物を持っているというのはお守りなのかもしれません。さらにいつも同じ足から歩き始める、同じ道を歩く、出勤してきたら同じ順番で準備するなどの同じ動作も安心して暮らすための儀式です。

アドラー心理学におけるライフタイルは、自分のルールブックのようなものであり、自分がその集団に所属するための最適な生き方であるとしています。他人が「こだわり」と呼ぶ行動も本人にとってはライフスタイルです。

さらに、障害者総合支援法では、いつどこで誰とどのように暮らすか、それを選ぶ権利があるとしています。それはライフスタイルの選択です。

最後にサングラスの話です。その方は本当はいつでもサングラスをかけていたいんです。他者の視線がとても気になり刺激になります。でも以前、室内でサングラスをかけるはおかしい、という指導がありサングラスをかけさせてもらえませんでした。その結果、支援者の目の届かないトイレに入るときにサングラスをかけることが習慣になってしまいました。

今、その方に、部屋でもサングラスをかけても良いですよ、とお話をしても、「ダイジョウブ」とかたくなに拒否をします。そのかわりにその方は人と視線が合わないようにいつも遠くを見るようにしています。

支援はライフスタイルを知ることから始まります。

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