見出し画像

目指している上司像と、求められている上司像とのズレに気づき、Boss to Coach の流れをつかむ


自分は上司としての力量があるのだろうか?

働くうえで、これは誰もが一度は意識する問いでしょう。

主任、係長、課長、部長…。

上司としての力量を考えたときに、自分が身に付けなければとイメージするものと、実際に求められているものとにズレは起きていないでしょうか?

今回はこのあたりを探ってみたいと思います。



🟧 リーダーシップのイメージに囚われていないか?


上司像を意識したとたんに、プレッシャーを感じてしまう人がいます。

上司=頼りがいのある人

という式が自分の中にあるため、「頼られても応えられるだろうか…」と考え込んでしまう。

このパターン、よく目にします。

たしかに、頼りがいのある上司像って、かっこいいですよね。


でも…。


頼りがいってなんなんでしょうか?


頼る側から見た頼りがいって一人ひとり違うものですし、同じ人でも状況によって頼りたいことが変わってしまう、なんていうのもよくあることです。


その、つかみ切れない全ての「頼りがい」に応えようとしても・・・無理です。


これは、インターネットもない、携帯電話もなかった時代のリーダーシップ像、多少強引にでも決めて進んでしまえば経済成長の波に乗っかって成果が出せた時代のリーダーシップ像に、未だ囚われていると言えそうです。

時代の変化よりも、人の意識の変化は遅いものです。

そして組織の変化、特に自治体のような組織の変化は、人の意識の変化よりもさらに遅れがちです。


そろそろ昭和の上司像からの脱却をしていきませんか?



🟧 Boss to Coach という流れ


ボスからコーチへ

この言葉が言われはじめてからもう何年も経っていますが、最近になってずいぶん浸透してきていると感じます。

Harvard Business Review(2022年5月号)では、

「いまこそ謙虚さと共感力が求められる リーダーシップの転換点」という表題がつけられ、リーダーシップについての特集が組まれていました。

その中では、

「マネジャーからピープルリーダーへ」という表現が使われ、マネジャーの役割に、「業務の監督者からパフォーマンス向上のためのコーチへ」といったスキルのシフトが起きていると記されています。


また、最近翻訳された、
『ザ・マネジャー  人の力を最大化する組織をつくる』
では、書籍タイトルの副題が「ボスからコーチへ」と記され、

「従業員や組織文化を成功に導くためには、(〜中略〜) マネジャーを「コーチ」に生まれ変わらせる必要があります」

とはっきり書かれています。


すでにマネジャー層の人も、将来マネジャーになる可能性のある人も、Boss to Coach というワードは心に留めて置くことをお勧めします。

今からBossを目指しても、求められるものとズレてしまいますからね。




🟧 リーダーでも即答は必要ない


上司として、状況を瞬時に把握して経験と照らし合わせ、素早く判断して的確な指示を出す。

うん、かっこいい。


こういう上司像へのあこがれ、私もあります(いまだに…)。


でも、私自身が課長として実務に携わってきた経験と照らし合わせると、

そんな即答が必要な場面なんて、ほぼない

という実感があります。


もちろん危機対応の際は必要です。

でも、普段の業務の中に危機対応はありません。


むしろ、慌てて判断するほうが、かえって手戻りが多くなります。


今の時代は、簡単に答えの出せる課題は少ないです。

特に大事なことほど、簡単には決められない。


加えて、他分野との協働、異業種との協力も、普通に必要です。


危機対応、あとは経験から容易に答えのわかること、定例業務以外は、リーダーであっても即答は必要ない。


そう考えて、大丈夫です。


急ぎ判断する場合でも、たった一言、「君はどう考える(どうしたい)?」という問いさえ発する間のない場面など、ほとんどないのです。



🟧 まずは聴く力から


コーチと聞くと、

コーチングの型にマネジメントを合わせなくてはいけない

そんなふうに考えてしまう人がいます。

そうすると、

「質問してるだけで仕事が終わるわけないだろ!」

なんて話になってしまう・・・。


こんな言葉を聞くと、残念だな…と思ってしまいます。


コーチングの技術をマネジメントの中に取り入れるのであって、コーチングに仕事を合わせるのではない、です。


さて。


じゃあどんな技術が有用か、まず1つ挙げよと言われたら、

聴く力

と私は答えます。

※表面的な言葉を聞くよりも広く、相手の真意や感情、思考などもキャッチする意味合いから、ここでは「聴く」という漢字を使っています。


聴く力。それも受け身になって聴き続けることではなく、理解して合意して物事を前へと進ませるための、アクティブリスニングの力が、最も役に立つでしょう。


これは私自身がマネジメントをしながらコーチングを学び、学んだことを実践する中で強く感じたことです。


聴くって想像以上に集中力がいるし、自分の「当たり前」を手放す勇気がいるし、やりだすと実は奥が深いものです。


生まれてからずっと、数えきれないほどの「聴く」を繰り返してきた私たちなのに、実は聴き方をちゃんと学んだことがない。

この事実と向き合うことから、Boss to Coach への道が始まります。


プロコーチになるわけではないので、コーチングを一から学ぶ必要はないでしょう。

でも、コーチングの技術が持つ力は、マネジャーにとって役立つものばかりです。

取り入れていくのは、大いにありだと思いますよ。


目指すべき上司像について、強力なリーダーシップを発揮する姿だとか、どんな場面でも頼りがいがあって即答するリーダーの姿、なんていうのをイメージしていた人は、そのイメージの上書きをしていくことが大事かもしれません。


部下から、そして組織から求められる力を理解して、自分の力を磨いていきましょう。






【出版情報】
⭐️自治体職場の育成について書いた一冊ですが、マネジャーとしてのスタンス、そして聴く力の伸ばし方にも役立つ一冊です⭐️

『後輩・部下の育て方、関わり方  公務員の新・育成術  思考力・判断力を伸ばす7つの着眼点と実践 』(公職研)




【お問合せ】
⭐️講演や研修のお問合せはこちらから⭐️





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?