APS-Cサイズにおける24mmあるいは23mm単焦点の必要性について
PENTAX K-3 Mark III Monochromeの導入から間もなく2か月。レンズの話をしてみたい。
私が使う焦点域だと20-40mmのズームレンズを買えば全て解決する。しかし単焦点レンズで画角を固定したいという話は以前に書いた。ペンタックスの単焦点レンズはたくさん持っているが、KとMはタイムラグが出る。使うレンズは次の3本に限られてきた。
HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited
35換算で約32mm
画角が広めでAFが使えるので、妻や友人など同行者がいる時の街歩きで使う。屋外ではMFにして目測。屋内ではAFで撮る。街の写真にも記念写真にも好都合である。
smc PENTAX-A 24mm F2.8
35換算で約36mm
フィルム時代から大好きな焦点距離。撮影だけが目的で自分の内側に降りてゆく日に使う。これが最も大切な撮影行為である。MFなので心身ともにフリーな日にしか使えない。
smc PENTAX-FA 28mmF2.8
35換算で約42mm
街撮りが目的ではなく、写真以外の用事もある時に使う。AFが使えるので同行者がいても単独でも良い。フィルム時代末期 (まだ終わってはいないけど) に40mmの良さが分かったのだが、その延長線上にある。
28mmレンズはAシリーズしか持っていなかったが、絞りを開けてのMFに不安が出て、状態の良いFAを中古購入した。
やはりこの中でも最も使いたいのは24mmレンズである。しかし残念ながら最も頻度が低い。それは生活のための仕事や用事が多いこともあるが、やはり屋内でのMFに不安があるためだ。K-3ⅢMのファインダーは優れているが、フィルムカメラと比べてしまうと難しい。
ペンタックスは24mmレンズをラインナップすることに腰が重い。タクマーレンズ時代にはあった。Kレンズにも存在した。しかしMレンズにはなく、Aレンズで復活した。ここまではMFだ。問題はその後。FAレンズにはあるが、開放F値が2になり大柄でしかもシルバー鏡胴となった。
これ以降のペンタックスは、リミテッドだの薄型だので差別化を図る路線になった。私としては普通のレンズが足りないと思う。ペンタックスのサイトで現在のラインナップを見てみよう。
単焦点レンズに限定して見ると、21mmの次が31mmなので35換算で32相当から47.5相当となり、間が開きすぎだ。
もちろんフルサイズのカメラを使えば問題ない。しかしペンタックスはK-3ⅢMでAPS-Cを極めて、さらにモノクロ専用機も出した。ミラーレス全盛のこの世の中に一眼レフの良さを、しかも小型軽量でアピールしているのである。24mmレンズが持つ意味も変わってきた。であればAPS-Cで35mm相当の単焦点を出す義務があると思うのは私だけだろうか。
その点、18mmと23mmを厚くラインナップしている富士フイルムは分かっている。
最近ニコンが出した24mmのように、明るくなくて良い。馬鹿みたいに近接できなくて良い。いやむしろ開放F値2.8で最短30センチ程度の、「地味だが基本性能が高いレンズ」を出して写真文化を啓蒙してもらいたいものだ。「こんなに寄れた」とか「○○ボケ」「○○フレア」だとか、そんな写真は飽きるのも早いと思う。なぜならそれは「遊び」の範疇から一歩も外に出られないからだ。
遊んでいるだけで良いという人はそれで構わない。しかし写真そのものが好きになれば、より高みを目指すはずだ。それは他人にほめられるとか「いいね」し合うとか、そういった方向とは正反対の話である。自分の中にあるものをいかに表現するか。それには同じことを同じように続けるしかないのだ。
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