PENTAX K-3 Mark III Monochrome ファーストインプレッション
開封しての第一印象
PENTAX K-3 Mark III Monochrome(以後はK-3ⅢMと略す)は発売日の4月28日に届いた。箱を開封する。ケーブルやバッテリーがまず目に入る。ボディが入っているであろうスペースの狭さに驚いた。内蓋を開いて取り出す。「小さい!」。同じAPS-CではニコンD500に慣れているので余計に小さく感じた。
最近ではヨドバシカメラなどの量販店にも行かなくなった。今回K-3ⅢMを検討するにあたってメーカーに見に行くこともしなかった。だからその実体は想像するだけだったが、小さいとは思っていたが想像をはるかに超えていた。
手に取ってホールドしてみる。やはり少し指が窮屈な感じがした。しかしこれは数日間使用してすぐに慣れた。他の人も書いているように握りやすいグリップ。持ってみてわかる機械の凝縮感。3種類のグレーに塗られたロゴや操作部の表示。前回の投稿にも追記したが、ストラップのロゴも目立たず杞憂に終わった。
レンズについて
中判以外のペンタックスは1980年代のLX以来だ。それもニコンに替える時に手放した。3年前に親友の同級生Mが急死して、彼のカメラとレンズが私に託された。その後、中古でボディとレンズを買い足した。
K-3ⅢMが届く前に、こんな写真と文章をこの投稿のために用意していた。
事前に用意した文章
いずれも1970年代から1980年代にかけて製造されたもの。時代順はK→M→Aで、KからMで小型化され、MからAで電子接点が追加された。焦点距離は1.5倍相当になるので、主に24mmから35mmレンズを、36mmから52mm相当で使うことになるだろう。
以前にも書いたが問題はマニュアルでの使い勝手だ。ペンタックスはフィルムカメラしか経験がない。ファインダーは良さそうなのでフォーカスは問題ないとして、電子接点のないレンズでの露出表示などである。ボディが来てからと思っていたが、A24/2.8は廉価で程度の良いものが最近見つかりゲットしておいた。
フィルムカメラと同じ使い方がしたいので絞り輪で絞りを設定したいのだが、タイムラグが生じるとの情報もあり、Aシリーズがメインとなるだろう。A24/2.8で36mm、A28/2.8で42mm。好きな焦点距離だ。あとは少し広めで、ペンタックスのサイトでこのカメラに装着されているHD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limitedを追加することになるかもしれない。
事前に用意した文章ここまで
結論から言うと事前の予想どおりになった。KシリーズとMシリーズで瞬間絞り込み測光を試したが、やはり1秒弱のタイムラグがある。使えなくはないがリズムが崩れてストレスになる。Aシリーズ2本に21mmF3.2を追加して、この3本で使うことにした。
21mmは最新のレンズ。2本のAシリーズは1983年3月の発売だが、40年後のK-3ⅢMで使っても素晴らしい解像力だ。この3本で32mm・36mm・42mm相当となる。このところフィルムカメラでの撮影ではほとんど35mmと40mmしか使っていないのでこれでオッケーだ。新たに欲が出てきたら、その時はまた考えよう。
操作感
最初は初期設定でしばらく使い、その後に設定を変更した。そのほとんどは「邪魔なものを外す」という方向だ。余計な電子音や表示である。何度も書いてしまうがフィルムカメラと同じ使い方をしたいので、撮影中に設定を変更したりしない。だから極力シンプルな設定となる。
変更できないものとして液晶表示の大きさがある。私も赤城耕一さん同様にスマートファンクションダイヤルの使い道が分からない。これは不要なので上面液晶がもっと大きい方が良かった。撮影のために歩行している時、絞り優先モードで絞りを確認したり設定するには、背面液晶よりも上面液晶の方が手首が疲れない。ましてファインダーを覗いてから絞りを設定するなど、スナップ撮影においてはあり得ない。
背面液晶にしても余計な表示が多い。ここは切り替え式にして、例えば設定を「シニアモード」にすると、絞り値とシャッタースピードとISO感度が、ドカーンと大きく表示されると良い。上面液晶もその3つだけにすれば見やすくなるはずだ。
「フィルムカメラと同じ使い方」という内容でもうひとつ。これは私の問題でカメラが悪いわけではない。数日間、街を撮ってみて「あれ?」と思ったことが何度かあった。良い光景だと思ってカメラを構えてシャッターを押す。「ジャリッ」と音がして若干のタイムラグがあってシャッターが切れる。「なんで?」と戸惑った。
何のことはない。オートパワーオフだ。デジタルカメラはしばらく操作しないでいると、自動でスリープ状態になる。これはシャッター半押しで復帰する。普通のデジカメを使う時は、考えなくても半押しがルーティンになっている。例え親指AFだったとしてもだ。しかしフィルムカメラの感覚でMFで撮ると当然こうなる。まあそれだけK-3ⅢMが良く出来ていて、私が気分よく撮影出来ている証でもある。
しかしこれをオフや長時間にしてしまうとバッテリーが持たない。かといって初期設定の1分を5分にしたところで同じだろう。フィルムカメラのように撮るとしても、頭の片隅に「これはデジタルカメラだ」という認識を少しだけ残しておいて撮影前に半押しをしよう。
あとはこれも私個人の問題だが、数日間で撮った写真を見ると、かなりの確率で構図がわずかに左下がりになっていた。これは学生時代に暗室をやっていて、イーゼルを同じ方向に傾けたくなるので気がついた。構え方の癖でなく身体のせいである。首が微妙に右に傾いているのだ。カメラの右が下がると構図の左が下がる。
これは大学時代にカメラのスクリーンを方眼マットにして徹底的に矯正した。しかし慣れないカメラを使うと途端に傾きが出る。それはグリップが大きなカメラで顕著だ。K-3ⅢMは全面マットに近い設定にしているが、しばらくの間はグリッド入りの設定にしよう。それと「カメラは左手で支える」という基本にもっと立ち返ろうと思う。
Jpeg初期設定の写り
さてようやく肝心の写りについて。数日間、様々な条件で撮ってみた。「諧調は豊富だが、少しぬるくて浅い」という印象だ。とくに「浅い」と感じた。
この10年ほど。モノクロフィルムはILFORD FP4PLUSを使っている。価格的なこともあるがスキャンしてPCソフトで仕上げるためには、軟調ぎみのフィルムの方が良いためだ。K-3ⅢMも同じ考え方だろう。Jpegで完結させたい人はカメラの設定で追い込むだろう。あるいは私は知らないがカメラ内現像という仕組みもあるようだ。
さてここからはRawで撮影していく。どうしても初期設定を見ると設定を変更したくなるが、ここは我慢だ。まずはそのままで撮ってみて、ペンタックスのDigital Camera Utility 5で現像してみよう。ソフトの使い方をマスターするのが、私にとって最大の難関である。でもじっくり取り組んでみよう。
ニコンのCapture NX2が大好きなので、それが使えれば最高なのだがRaw形式がおそらく異なるので無理だろう。あとはAdobeのLightroomか。これはあまり使っていないので、とにかくまずはペンタックスのソフトだ。
フィルムカメラで撮影したネガはスキャンしてLightroomで保存し直して、Capture NX2で仕上げている。なぜかスキャンしたままではCapture NX2がJpegとして認識しない。最初は難しかったが、試行錯誤の末に現在では満足のいく調子が出せている。
フィルムからスキャンして仕上げたもの
朝の斜光線が左後方から当たり、右にあるビルの反射がちょうどレフになりシャドウ部を起こしている。このくらいの調子が好きだ。
次は昨日K-3ⅢMで撮影したもの。Jpeg初期設定で撮りっぱなし。リサイズのみ。
2023年5月2日11:44。ドピーカンの昼である。白い工事用シートの輝度が高く、多少メリハリの利いた表現になった。もっとコントラストの低い日や被写体だと「ぬる〜く」なってしまう。設定とソフトでの追い込みが必要だ。
ファーストインプレッションは以上。
さあここからが長い道のりだ。
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