『「山奥ニート」やってます』石井あらた


和歌山県の限界集落で小学校校舎をタダで借りて、必要に駆られて日雇いの仕事をしながら暮らす若者(?)たちの記録。
山の恵みもあるし地域の人たちの相互扶助ネットワークに乗れたら年間30万円の収入でもで暮らせる(6年ほどの実績)、と聞くとちょっと胸が騒ぐ。

家屋(というか校舎)の老朽化による修理費などをどうするのかとか、通信設備や上下水道、物資運搬・病人搬送のための道路などの生活インフラ。これらを度外視できているからの年間30万円。また食費光熱費などを数人で共同負担しているから、というのもあるだろう。

人が欠けたら厳しいだろうし、タダ乗りできるインフラが失われても厳しいだろう。ちょっと長めの「夏休み」、あるいはサマーキャンプ? 体が動くうちはいいけれど歳をとってからは厳しいだろうなあ、ともおもう。

ただ楽しそうではある。期限つきかもしれないけれどこういう生活ができるという事実は生きていく上で希望にもなる。つらくなったら山奥で隠遁生活することもできるんだよ、って。(人と会わないと生きていかれないとか、都会のキラキラしたショップがないとダメとか、定期的に外食しないと窒息するという人たちにはムリだろうけれど)

人の生きていく方法は資本主義の歯車になって会社勤めすることだけにあらず。

その実践のひとつが、すくなくとも数年にわたって持続させられる(こともある)という希望が、これに書かれている。

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