システム変更
2月2日土曜日、晴れ
起きるのが遅くて、動くのもおっくうで。
夕方、5時半ちかくなってしぶしぶ心療内科に向かう。
5時45分、入口前に立つ。
おや? いつもならかかっている診療中の札がひっくり返っている。
ドアノブを回す。鍵がかかっている。目線を右にずらす。診療時間を確認する。土曜日、午後は2時から5時までとある。おおっと。
一ヶ月半ぶり。いつも混雑していて待たされるだけ待たされて、そのくせ5分ほどの会話で終わってしまうのが、どうにも面倒になってきている。きっと先生から「もう大丈夫ですよ」なんて言い出してはくれないだろう。そしてこれ以上の減薬もないだろう。(確か一日400mg必要なところ、200mgまで減らしてもらっている。なんだかもう、それはお守りみたいなものなんじゃないか? ともおもうけれど……)
通りすがりの人からも悪意を向けられていると感じることがあるなら、まだ通った方がいいとおもうよ? 妻にそう言われた。
ここ数ヶ月、さすがにそういうのは、ない、とおもうけれどねえ。通りすがりというのが、たとえばツイッターで見ず知らずの人のする何気ないツイートのことだとして。
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弓の持ち方をいろいろ変えようと悪戦苦闘した結果、いい感じに「支えられる」ようになってきた。力の加減が効くようになった。音が伸びるようになった……気がする。より艶っぽくなった、気がする。エー線の、たとえばシの音でも。(E線をエー線と呼ぶように教えられたんだけれど、そうするとゲーセン上のアリアって読むのかな……?)
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スマホ版のどうぶつの森『ポケットキャンプ』にアップデートが入り、操作系に大幅な変更が加わった。
根幹に関わる変更。
ポケットキャンプ、略してポケキャンの立て付け。
自分が管理を任されているキャンプ場にどうぶつたちがやってくる。その子たちの「お願い」(りんごが欲しいだとかカブトムシを観察したいだとか)を聞き届けて、一緒にバーベキューをしたり、たわいないおしゃべりを聞いて…… 川で釣りをしたり海辺で貝殻を拾ったり島で虫取り網を持って昆虫採集したり森で果物を拾って。
お願いを聞いたお礼にもらったベル(お金)を使ってキャンプ場を彩る家具を買ったり、オブジェを作ってもらったり、花壇に花を植えたり。
そうして自分好みのキャンプ場を整えて、お気に入りのどうぶつをメインのキャンプ場に侍らせて「ゆったり」スローライフ──というのが基本コンセプトなんだとおもう。
もともとが、どうぶつのお願いを叶えるために忙しく駆け回るので、スローライフなんてヘソが茶を沸かすようなものだったんだけれど、今回の変更は
どうぶつたちとの会話を完全にオミット
するという大英断。マップを開いてペリカンの「ぺりお」くんに話しかけると、お願いを抱えているどうぶつが表示され、そしてそれに自分が応えられるかどうかがわかる。ボタンを押すと、ぺりおくんがどうぶつにお願いの品物を届けてくれてお礼が受け取れる。
つまり、
場所に行ってどうぶつに話しかけ、
妙な身悶えをするどうぶつを眺めながらお願いを聞き、
聞き届けるとお礼とリアクションが見られる。
という長いシーケンスが、
マップを開いて状況確認。
品物が足りていれば1タップで依頼完了。
と劇的に短縮された。ここに、どうぶつたちとの(心温まるハートフルな)コミュニケーションは存在しない。
いや。正直にいうとね。面倒だったよ? 移動するにもいちいち通信が発生してロードにも時間がかかるからダルかった。
でもこれって、どうなんだ?
どうぶつの森だと言いながら、どうぶつとの会話はなし。アイテムを(効率よく)集めるシステム「だけ」が抽出されてしまったんじゃないのか?
それって、楽しいのかな……?
もちろん今までどおり、マップを開いて時間をかけて移動して、不思議な身悶えをするどうぶつたちの狂気に侵されたおしゃべりに付き合うこともできる。それは(僕を含めた)ユーザーの選択次第。
だけれども。メインのシステムが「どうぶつをスポイルしていいですよ」と宣言したも同然だとおもうのだ、これは。なにか大事な、タイトルの根幹が捨て去られたのではないかと、そうおもうのだ。