『放課後地球防衛軍1 なぞの転校生』笹本祐一
「コバルトあたりのラノベ」と括られて「それは違う!」と咄嗟に否定が口をついて出たけれど、どこがどう違うのか説明できないことに気づいて戸惑う。そうか、そうなんだ。
富士見ファンタジア文庫(『スレイヤーズ』シリーズとか)あたりまでくるとラノベであることは疑いもない。(ページの下半分が真っ白という思い切りのいい改行の嵐はまさしくラノベだ)
しかるに朝日ソノラマや東京創元も、そうか。そうなのか。
表紙はキラキラの女の子である。セーラー服。スカートの丈は短い。これは──ラノベだ。その表紙折り返しの著者紹介には『「現役最古のラノベ作家」を自称している』とまで書かれている。よし、ラノベだ。
降るような──どころではない。夜空の星がすべて墜ちてくるような流星嵐。そしてひときわ大きく明るく輝く大火球。天文部員の祥兵、雅樹、マリア、そして顧問の杏先生がこれを観測するところから物語がはじまる。
翌日、彼らの岩江高校へ転校生・悠美がやってくる。
学校の時計塔、天文ドーム、そして理科準備室から続く謎の地下通路。なにかを探す悠美。彼女がまとう、いわく言い難い違和感。いったい彼女は何者なのか。
鄙びた地方都市、岩江を舞台に「地球」を守るシリーズ、開幕!
……という、うん。ラノベだ。
一冊まるまる使って舞台の紹介。うまい。適度に余白を残しつつ、市中の施設を紹介。随所に差し込まれる細かくマニアックな描写。緩急(ただし概ねゆるい)。
ここからどうやって風呂敷を広げていくんだろうかなあ。