CADDiの現在地とこれから ~シリーズBの資金調達を踏まえ、グローバルでの製造業DX推進のための「山の登り方」を考えてみる~
初めまして。キャディ株式会社にて社長室長をしております芳賀です。
キャディではこの度、8月24日に、シリーズBラウンドにおいて、エクイティ、並びにデットでの資金調達を実施したことを発表いたしました。今後も、グローバルの製造業領域において事業を展開し、受発注にとどまらず、設計から製造・物流・販売までのバリューチェーン全体のDXを加速することで、製造業のデジタル化におけるデファクト・スタンダードの構築を目指していきます。
このnoteでは改めて、「キャディがこれからどのような世界を目指していくのか?」、「どのような発想で今回の資金調達を行ったのか?」、「キャディの社長室の現在とこれから」についてお話したいと思います。
1. キャディが目指す世界観
キャディは2017年に創業して4年目を迎えているスタートアップです。「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションを掲げ、製造業市場において顧客企業様とサプライパートナー(加工会社)様をつなぐ特注加工品の「受発注プラットフォーム」を提供しており、これまで着実に受発注プラットフォームを拡大させてきました。
加工会社様のネットワーク拡大に伴い、対応可能な加工種類を大幅に拡大させるとともに、装置・プラント業界を中心とした顧客企業様からも様々な加工種類にまたがった一式での受注を拡大させることで、直近の受注額は前年比で6倍超に拡大しております。
一方、私たちが取り組む製造業の調達市場は国内で約120兆円、グローバルで約2,000兆円であり、登ろうとしている山は非常に大きく、高いです。そんな広大な市場の中で、キャディの事業規模は極めて小さく、まだまだアーリーステージにいる、言ってしまえば「山のふもと」にいる状況です。
これまで100年超にわたりイノベーションが起きておらず、かつ最も規模が大きい製造業の調達領域における課題に、キャディは正面から向き合っています。キャディのテクノロジーに裏打ちされた受発注プラットフォームを活用することで、顧客・パートナー様の受発注における非効率性・負を解消し、顧客企業様、パートナー(加工会社)様が本質的な強みにフォーカスできる世界を作ろうとしています。
将来的には、受発注プラットフォーム事業のみならず、自社テクノロジーの外販によるSaaS事業やファイナンス事業、海外展開、などに同時並行的に取り組むことで、周辺領域も含めて事業を拡大させていく計画です(詳細は創業期!から描いている下図をご参照)。GAFAを中心としたグローバルのプラットフォーマーやIT企業が、これまでコア事業を拡大させるのに加えて、そこからあぶりだされる課題を解決することで周辺領域にも次々と事業を拡大させてきたように、私たちも製造業という広大な市場に正面から向かい、課題解決に取り組むことで、受発注領域からその周辺領域へと事業拡大をしていくことを計画しています。実際、SaaS事業や海外展開は遠くない将来、具体的な取り組みを行っていく予定です。
こんなことを思い描きながら、キャディでは、お客様、パートナー様、従業員、すべてのモノづくりに従事する会社・人のポテンシャルを解放し、モノづくり産業を変えていくことを目指しています!
2. シリーズB資金調達について
このような世界観の実現を目指す中で、今回キャディでは、シリーズBラウンドとして、エクイティで80億円の調達を行いました。同時に、デットでも25億円の調達を実施しました。
改めてこのタイミングで資金調達を行った背景は、ひとえに「キャディが事業を更に推し進めていくうえで、人材採用と投資に積極的に踏み込んで行くこと」にあります。キャディの立ち位置はまだまだ「山のふもと」にいる状況です。しかしながら、創業以来4年間で、「山をこれからどう登っていくか」がおぼろげながら見え始めてきた(かもしれない)中で、成長のために必要なアクションをより大胆に遂行していく、そのための人材採用と投資を積極的に行っていくということになります。実際、私がキャディにジョインした本年4月から4か月間強で社員数は1.5倍を超えて急激に増加しており(!)、今回の資金調達を踏まえて、更に人材採用と投資実行を加速させていく予定です。
さて、今回の調達ですが、エクイティとしては、既存投資家4社に加えて、グローバルで投資経験が豊富な海外投資家を中心に新たに6社の投資をいただくこととなりました。既存投資家の皆様からは引き続きキャディ事業の拡大に向けて継続的なコミットをいただきました。また、それに加えて、中長期的に「キャディの世界観をグローバル規模で実現していく」という目標達成のために、グローバルベースで超大型企業の成長を支援した実績があり、今後のキャディの継続的な資金調達をサポートいただけるようなグローバル投資家を中心として、新規投資家6社のご支援をいただくこととなりました。
企業が成長を実現していくうえで、中長期的な方向性に向かっていくための「事業戦略」と、それを支える「財務戦略」(資本政策)は対の関係にあります。したがって、経営陣と投資家(株主)とかが「目指すべき方向性」や「その実現に向けたタイムライン」、「事業上のオポチュニティとリスク」などについて理解を共有し同じ方向を向いていることが、持続的な企業成長には極めて重要です。その観点で、今回のエクイティ・ファイナンスにおいて、多様で特性の異なる幅広い投資家の皆様に、キャディの目指す世界観を理解していただき、今回以降のラウンドも含めた中長期的な資金調達につながる「土台」を作っていただけたことが何よりも大きく、これからの「ふもとからの山登り」に向けた良い準備ができたものと考えています。
同時に、今回は相応な規模のデット調達をメガ3行様にご支援いただく運びとなりました。キャディの受発注プラットフォームは、品質保証まで含めて顧客企業様のサクセスにコミットしており、製品の実際の売買取引に入ることから、顧客企業様とサプライパートナー(加工会社様)の決済タイミングの差から生じる運転資金のマネージが重要になります。そして受発注オペレーションを健全に成長させていく観点で、運転資金に相当する資金はデットファイナンスにて調達するのが理想になります。今回ラウンドでは非常にタイトなスケジュールの中でメガ3行様にも多大なご支援をいただき、エクイティとデットを適切なバランスで調達することができました。
繰り返しになりますが、キャディの事業はまだまだ初期的なフェーズにあります。キャディが目指そうとしている世界観、登ろうとしている山に対して、1合目にも到達していません。今後とも、事業成長を支えるための適切な財務戦略を遂行し、「モノづくり産業のポテンシャル解放」に向けて、会社全体で取り組んでいきたいと思います。
尚、今回のシリーズB資金調達に関する詳細は、別途8月31日(火)に以下のwebinarでもお話させていただく予定です。ご興味ある方はぜひ以下リンクからお申込みいただけると幸いです!
■「グローバル資金調達80億円の裏側と未来構想」 2021年8月31日(火) 19:30-21:00
https://caddi-careers.studio.site/series-b/event-01
3. キャディの社長室の現在とこれから
これまで、キャディが目指す世界観と、その実現に向けてのシリーズB調達の位置づけについてお話をしました。最後にキャディの社長室がその中でどのような役割を担い、今後何に取り組んでいこうとしているのかを書きます。
キャディの社長室は一言で言うと「キャディが広大な製造業市場の「山」を登っていくために全社レベルで必要なものをとらえ、特定し、それを実行に移すエンジン」のような役割を担っています。具体的には、事業推進のための経営戦略作りもさることながら、その実行を支えるための財務戦略や人材戦略に至るまで、幅広い範囲をカバーしています。そういうと格好よく聞こえますが、実態としてはむしろ、事業を推進していく上で生じる全社的な課題に対して、その解決のためにアジャイルに動くという方が適切かもしれません。
キャディが今後更に事業を推進していくにあたり、社長室としては特に以下の3点を重要なミッションとして取り組んでいきます。
a) 経営管理の高度化 - sustainableな成長実現のためのKPI計測 -
b) 非連続を創る - M&A、戦略投資の実行 -
c) 人材強化・組織体制構築
a) 経営管理の高度化
キャディの事業づくりが面白く、且つとても難しい点として、受発注両サイドのプラットフォームであるが挙げられます。すなわち、顧客企業様、サプライパートナー様の両サイドにおいて、どちらかが一定のスケールを確保できないともう片方にプラットフォームの価値を提供できない、その逆もしかりであり、どちらをどのように拡大させていくのが最適なのかという、いわゆる「鶏と卵問題」が成長について回ります。そして、これを更に難しくしているのがB2Bの事業領域であること、更にはQCDの要求が極めて高い製造業であることです。UberやAirbnbに代表されるような"to C"のプラットフォームにおいてはそもそもの”C"の絶対数が多く、またその獲得のための方程式もある程度確立してきているように感じますが、"to B"の製造業領域でこのようなプラットフォームを作ることは前人未到の挑戦であり、容易ではありません。
そんな中でもキャディは試行錯誤を経て戦略やターゲットセグメントをうまく変化させながら、事業を拡大させてきました。一方、今後、「山のふもと」から「本格的な山登り」を進めるにあたっては、更に事業の拡大を再現し続けることが重要です。更には、そのような成長を中長期的に続けていった先に、健全な収益性を見込んでいけるかが非常に重要であり、中長期を見据えて、「sustainableな成長の実現」により力点を置いていく必要が出てきます。
「SaaS企業を中心として顧客獲得指標として見られるLTV/CACに相当する指標をキャディではどのように考えていくべきか?」、「顧客・プロジェクトごとの限界利益を正確に測るためにどのような管理会計の発想を持ち込むべきか?」、「健全な成長を図るためのシンプルで実用的なKPIはいったい何で、それをどのように計測しPDCAサイクルに落とし込んでいくのか?」
上記のような、問いに対して、キャディ固有の事業モデル特性も勘案した上で、最適なKPI設定と計測の仕組みを作ること。これが社長室に課された重要なミッションの一つになります。
b) 非連続を創る - M&A、投資戦略の実行 -
もう一つ重要なミッションとして、全社レベルでの非連続を創るということがあげられます。広大な市場の攻略にあたっては、決めた戦略を早急に実行に移し、高速にPDCAを回して事業を拡大させることが極めて重要ですが、自社内の限られたリソースのみではその実現は極めて困難になります。
特にキャディが描く将来像の実現に向け、受発注プラットフォームのみならず、SaaS事業やファイナンス事業を初めとして、様々な周辺領域での事業拡大を行うには、M&A戦略や、常識を打ち破るような投資実行が不可欠になります。これは「事業シナジーを追求する」、あるいは「時間を買う」という観点もさることながら、「普通にやっているだけでは乗り越えられないような壁を非連続に一気に乗り越えていくための投資」という意味合いになります。実際、直近でもビザスクさんの買収など、スタートアップ業界において自社規模を上回るような会社の戦略的な買収を非連続で行うような事例も出てきています。
M&A、戦略的投資をフル活用した非連続を立案し、実行に移していくこと、そのために"out-of-the-box"でゼロベースで柔軟な思考力を持って取り組んでいくこと、そんな動きを社長室で主導していきたいと思っています。
c) 人材強化・組織体制構築
最後が、経営戦略を支えるような人材強化・組織作りです。しつこいぐらい繰り返しになりますが、キャディは現状社員150名の体制まで拡大してきてはいるものの、目指す世界観や事業フェーズとしては、まだまだアーリーな段階にあります。今後、製造業バリューチェーンの中で事業領域を拡大させていった暁には、各事業をそれぞれ独立した事業体(カンパニー)として運営していくことを念頭に置いており、各事業を独立体として「カンパニーCXO」「カンパニーVP」としてけん引していけるようなマネジメント人材を数十名規模で強化し続けることが必要不可欠です。
社長室ではこのような経営戦略を実行していくうえでの人材・組織戦略を、共同創業者である加藤・小橋やHRチームとも連携しながら取り進めており、一緒に製造業に変革を起こす挑戦に取り組んでいただける方を、日々探し続けております!!
4. おわりに
キャディが作ろうとしている世界観はとても大きいです。世界中を見回しても、製造業の調達という領域に正面から向き合って、製造業のバリューチェーン全体の課題解決に取り組んでいる企業はキャディ以外には(おそらく)存在しないかと思います。
私たちは広大なマーケットの中ではとてもちっぽけなプレーヤーにすぎません。この高い高い山を登る方法を共に考え、行動を起こしていけるような仲間が増えれば増えるほど、キャディの世界観実現に前進していきます。
キャディのミッションに共感し、ともに難しい課題に挑戦して、製造業マーケットを変えるような新たな仕組みを創っていきませんか。そして社長室で、キャディの経営戦略や非連続成長づくりに一緒に取り組んでいきませんか。
ご興味を持っていただけましたら是非下記リンクよりご応募いただけると嬉しいです!!引き続き、「モノづくり産業のポテンシャル解放」に向けて、皆様方のご支援をよろしくお願いいたします。最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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