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「仁義なき戦い」の菅原文太

新春に池袋、新文芸坐で「仁義なき戦い」シリーズを4作品みてきた。
すでに物故された名優が次々に出演する。菅野文太以外は金子信雄がシリーズを通して生き残る。
凄惨なシーン満載の一方でおかしみもあって館内から笑いが起きる。
面白かったのは、金子信雄演じる親分を松方弘樹演じる坂井が、親分とは神輿の上に載った存在であり、担ぎ手がいなければ神輿は歩くこともできないと喝破したシーン。いわゆるお神輿モデルである。
お神輿モデルは、ヒエラルキーのある組織の、かつての日本方組織のあり方を上手く表現していた。

この映画に全く関係ない、中井久夫さんが引用文献なしで、戦前日本にはお神輿モデルがあり、担ぎ手の勢いが余って大陸すなわち満州に侵略したという内容の文章を書かれた。そのお神輿とは旧陸軍であろう。

お神輿モデルは祝祭的で、そちら関係の映画にぴったりだが、ひょっとして、戦争にも祝祭のような側面があるのかもしれない。
中井久夫さんがどんな映画が好みかは存じあげないが、深作欣二は多分違うと思っていた。
話しを戻すと、映画はもはや成立し得ない戦後の混乱を背景とした実録を描き、まるで昭和の残した何がしかが、暗黙のうちに、汗まみれで立っているようにみえた。


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