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サピエンス全史~第二部農業革命~

今回はユヴァル・ノア・ハラリ(2016)『サピエンス全史』(柴田裕之訳)河出書房新社の第二部である「農業革命」について独断と偏見でまとめる。

農耕が人類に与えた影響

かつての研究によると、農業革命が人類に様々な恩恵をもたらしたとされていた。
確かに農業革命によって、人口増加につながった。

しかしながら、実際には、人類が良い食生活を送る事や、より長い余暇を味わう事には結びつかなかった。
むしろ、サピエンスに様々な悪影響を与えた。

第一に、労働時間の増加と疾患である。
小麦の栽培には多大な労力がかかる。サピエンスは朝から晩まで、小麦の世話をし、イナゴやウサギから小麦を守るために一日中、目を光らせていた。

農耕への移行による労働時間増加の影響で、本来、狩猟に適した骨格であったサピエンスは、ヘルニアや関節炎、椎間板などの疾患を持っていたという。

また、農耕民の暮らしは、労働時間が増加した割には、安定していなかった。なぜなら、十分な雨が降らなかったり、イナゴの大群が来襲したり、菌類が繁殖した際に防ぐ術を持っていなかったためである。

第二に、栄養の偏りである。人類は狩猟中心の生活をしていたため、多種多様な食べ物を食べていた。しかし、農業革命以降、穀物を中心した食生活に転換した。穀物に基づいた食事は、ミネラルやビタミンに乏しく、栄養に偏りがあった。

第三に、ヒエラルキーや格差の拡大である。
農耕民が働くのは一年後の収穫のためである。つまり、常に未来を念頭に置き、働いていた。これは、同時に未来への不安にもつながった。

彼らは、将来不安のために食欲を抑え、開墾し、灌漑水路を掘り、懸命に働いた。その後、この農耕のストレスが大規模な政治体制や社会体制の土台になった。

至る所でエリートや支配層が生まれ、農耕民の余剰食糧は、支配者に搾取されるようになった。こうして没収された食料の余剰が原因で政治や戦争が生まれた。

このように歴史をマクロの視点で見ると、農業革命によってもたらされた負の影響は大きい。

まとめ

今回はユヴァル・ノア・ハラリ(2016)『サピエンス全史』(柴田裕之訳)河出書房新社の第二部である「農業革命」について独断と偏見でまとめた。

一説によれば、農業革命によって安定的な食糧の供給と効率を求めたサピエンスは、却って忙しくなり、日々落ち着かない日々を過ごしたそうである。

これは、情報氾濫社会に生きる現代人にも当てはまるのでは無いか?著者が指摘している事が非常に腑に落ちた。

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