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若い読者のための第三のチンパンジー-人間という動物の進化と未来-

今回は、ジャレド・ダイアモンド『若い読者のための第三のチンパンジー-人間という動物の進化と未来-』秋山勝訳(草思社文庫 2017)を独断と偏見でまとめます。

人間とはどんな動物なのだろうか

人間とチンパンジーの遺伝子は、たったの1.6%しか差異が無いと言われています。
しかしながら、私たちは自己中心的に文明を築き、科学技術を発展させ、高度な道具を駆使して、他の動物を大量虐殺し、地球の生態系に大きな影響を与えます。

他の動物と人間の差は何なのか?
そして我々ホモサピエンスは、このまま私欲に走り、環境破壊、他の動物を殺戮、人間同士のジェノサイドを繰り返していいのでしょうか。

本書では、名著『銃・病原菌・鉄』で有名なダイアモンド氏が、
人類生態学、分子生物学、進化生物学、生物地理学、言語学等の幅広い知見から「人間とはどんな動物か」を解き明かし、私たちがより良い社会を築いていくためのヒントを与えてくれます。

まず、人間という動物を明らかにするために、他の動物には無い
「人間特有の行為」について考察します。

他人から隠れて性交渉をすることや家族で子育てをすることなど生物学的にユニークな特徴を持ち合わせている人類ですが、
中でも最もユニークな特徴は、「言語」です。
言葉を話せたことで、脳が発達し、文化的特質である文字、芸術、農業、道具を操る技術などを手に入れることが出来ました。

もちろん、猿も犬も鳥も、鳴いたり、吠えたり、コミュニケーションを取る事が出来るそうです。

しかし、人間だけが「俺は3分後に300m先にいるマンモスを後ろから攻撃するから、俺の合図があったら、お前はマンモスの前方から一気に攻撃してくれ!挟み撃ちしよ!」というような高度な言語能力を身に付けました。

このようにして高度な言語能力を備え持った人類は、文明を築き、知識、技術、文化を後世に継承することが出来ました。

一方で、高度な知性を持ったホモサピエンスは、農業の発明と共に、格差社会を生み出しました。
また動物を家畜化し、その他の動物を繰り返し殺戮し、過度な自然資源利用で生態系を崩壊させました。

今日、地球環境の問題が顕著になってきていますが、
西暦1500年頃のイースター島での森林破壊による文明消滅、白人侵略前のニュージーランドでの大型鳥類(モア)の絶滅、中東での自然資源の過度な利用による砂漠化など、人類は大昔から自然破壊とそれに伴う文明消滅を繰り返してきました。

加えて、自己の権力や利益のために人間同士でジェノサイドを繰り返し、幾度となく戦争を繰り返しました。

上で見たように、人類は高度な言語能力と知能を備え持ったことで文明を築き、大躍進を遂げました。
しかし、「自己中心的な人間」は、環境破壊、生態系の破壊、他の動物を殺戮、人間同士で殺し合いを繰り返します。
だからこそ、同じ過ちを繰り返さず、良い社会を構築するために、1人ひとりが将来について考えなければいけないのかもしれません。

まとめ

今回は、ジャレド・ダイアモンド『若い読者のための第三のチンパンジー-人間という動物の進化と未来-』秋山勝訳(草思社文庫 2017)を独断と偏見でまとめました。

本書でのダイアモンド氏の主張をすべてまとめ切れていなく不十分な内容なのは承知のところなのですが、
ここからはさらに、私なりの解釈をまとめたいと思います。

人類の最も特徴的なものは「言語」です。
そのため人間は「言葉」をもっと大切にしないといけないなと思います。
人間にしかない「言語能力」とは、話し合いをする力、交渉する力、喜怒哀楽を伝える力、文字を読む力だと思います。

だからこそ、私たちは100年前に起きた世界大戦や(人間同士の戦争)、
500年前に起きたイースター島での自然破壊による文明の消滅(その他の環境破壊による文明破壊)を「文字」や「言葉」を通して勉強しなければいけません。
(チンパンジーや他の動物にはできないこと)

また、過去の悲惨なことを繰り返さないように、「過去をしっかりと学ぶ」「他者と話し合う」ことが人類にとって大切な事なのではないかと思いました。

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