最速でアートを学ぶ方法
「詳しくないけど、見るのは好きなんだよね」
オススメの展覧会を聞いてくれたり、人気な展覧会には行ってみるという人の口からよく出るこの言葉。
なんで好きなら、詳しくなる為の努力をしようとしないのか不思議になるのだが、確かにアートは難しいし、いざ学ぼうと思ってもどこから学べばいいのか分からないとい気持ちはよく分かる。
それに、いきなり分厚い本を読むのも専門用語も多くて億劫になる。
そんな人にオススメしたい一番アートが分かるようになる方法は、
「好きなアーティストを見つけること」。
シンプルだけど、これに尽きる。
アートは自由で、アーティストの純粋な表現こそアートだ!
と日本人は岡本太郎の「芸術は爆発だ!」という有名すぎるフレーズに囚われた純粋アート原理主義者が多すぎる。
繰り返し書いているように、アートは歴史であり意識、無意識に関わらず前代のアーティストの影響を受けている。
それ故に一番アートを学ぶ上で手っ取り早い方法となるのは、自分が好きなアーティストを見つけ、その前後関係を見てみることである。
例えば、ポップなお花の絵で有名な村上隆は、東京芸大では日本画を選考していた経歴もあり、「奇想の系譜」という江戸時代の絵師たちの画面構成に影響を受けており、ポップアートの騎手であるアンディウォーホルについてもしばし言及している。
加えて、村上隆は自信を「オタクになれなかったオタク」と自嘲し、日本のアニメ、漫画といったサブカルの要素を現代アートの文脈に組み込むことで名を挙げ、それ以降の日本人アーティストに大きな影響を与えている。
このように、「村上隆」というアーティストを少し調べるだけで、日本の江戸時代のアート、アメリカの50年代のアート、サブカルチックな日本の21世紀のアートの歴史と活動が芋ずる式に見えてくる。
これはわかりやすい例だが、作品が作られた年代、国も有効なキーワードになるだろうし、〜派、〜主義、〜イズムといったジャンル分けもいいヒントだ。
これを繰り返すことで自分の好きなアートの傾向がつかめてくるし、「現代アート」という狭い領域に留まらず、幅広く体系的に「アート」という活動に触れることができる。
ワンピースを読む人なら分かるが、これは「ログポース」だと思う。
アートという無秩序で、磁気が乱れているグランドラインの航路では、次に向かうべき島を指してくれるログポースがなければ行く先に戸惑うのも必然だ。
そのログポースは「ただ自分の好きなもの」を見つけるという作業で簡単に手に入る。
では、その好きなものはどこで見つけるのか。
答えはかんたん。
美術館に行こう。
これを繰り返して行くことで、また次に進むべき道を自分の好きになったものが指さしてくれる。
「好きなものを見つける」
このシンプルな行為と循環が地味に見えるが、アートを分かる為の重要かつ最速な方法だと思う。
好きになったものを少し調べて見ようと思えなかったら、
あなたはきっと、それを好きではない。