【講演要約】佐久間徹「育児の行動心理学、発達障害児を中心に ‐ 強化して強化される関係 ‐ 」(中部行動療法・行動変容研究会四周年記念大会, 中京大学, 2005)

 ABAの基本は、三項随伴性(事前の出来事 ⇒ 行動・反応 ⇒ 事後の出来事)です。 とくに行動・反応と事後の出来事との関係性に注目します。 この枠組みにもとづくと、行動の予測と統制(こうであればこうなるだろうということ)、行動の機能の同定(当該行動の果たす目的をみつけること)、適応行動の形成が可能になります。 こうした背景には、オペラント条件づけ研究、スキナーの言語行動理論等々があります。

 生活の中で、自発的な行動、適応行動の形成を目指します。 自発的な行動を育てるため、本人にとって嫌悪なことを減らします。 本人にとって手応えのあることを増やします。 結果の伴う行動のチャンスをつくり、行動のレパートリーをひろげます。 自発的なことばを育てるために、ことばの修正や催促等をなくし、要求に応じたり大人が模倣するという対応をします。 ノリを高めていくこと、ガマンよりワガママを育てることで困難を乗り越える力も育てます。

 言語習得期には、要求充足や聞き手の存在を明確にします。 話し手として、手応えを得られることを中心にすえます(楽しい、面白い、よかった、うれしい)。 これは、言語や生活能力をより高める模倣行動や観察学習にもつながります。 言語習得等のためには、強化子選択(えらぶ)だけではなく、強化子工作(つくる)が必要です。 適応行動や模倣行動を成立させるためには、プロンプト(ヒントもしくは支え、手助け)が求められるでしょう。

ブログ「生活と人間行動」の記事(2005年6月28日)再記。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?