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昔の記憶

母がリハビリ入院を終えて帰宅。

入院前より足が上がらず
左右交互に引きずる感じ。

普段は父が手引きしているが、
足を前に、とか
お腹に力を入れて、とか
ギャンギャン言われて
父の手を払いのける母。
今日は私にやってほしい
ということだ。

父はいつもこういう言い方をして、
失語症のある母に畳みかける。
母が言いたいことを言えないのに、
何が言いたいの?え?と。
それを見ているこちらまで
げんなりするやりとり。

母の手が、私の右腕にめり込み
腰を支えている左腕、
母に高さを合わせた姿勢で
自分の腰にもかなり負荷がかかる。

玄関前の駐車場から手を引き
廊下の手すりを伝って、何とか
トイレに辿り着いて40分。

トイレから出て、自室のベットまで
15分。

特に、方向転換の時に
どんどん腰が下がってきて、
それを起こすのに必死。

ベッドに寝かせて、ようやく
重みから解放された。

お土産の話をしながら
立川に行ってきたと言うと
今まで片目を細くしか開いていなかったのに、両目をばちんと開けて
驚いていた。

立川は、母が20代前半に
馴染みがあった街だと思う。
住んでいたのか聞いたけれど、
思い出せないようだった。
昔聞いた記憶だと、確か国分寺に
住んでいたと思うのだが…

立川の話を機に、
正気が戻ってきた感じがした。

また少し痴呆が進み、
足も上がらなくなったけれど。

それでも、私が話したことは
伝わるし、返事は思わしくなくても
会話は成り立っている。

こういう時間を過ごせて
大変だけれど、ありがたいと思う。

父はリハビリへの期待が
大きかったから、がっかりして
いたようだった。

だがそろそろ、現実を受け止めて
自分の身体のことも考えてほしい。

どうするのが、家族にとって
ベストなのか。
簡単に答えは出ないけれど
考え続けていこう。

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