簡単3ステップ_損益分岐点売上高の求め方_その②
ども、スマレジの新垣です。
Netflixで「地面師たち」を一気に観ました。面白かったです。漫画のようなことを実写で描いており、なかなか面白かったです。
さて、
今回は前回の続きの記事です。
簡単3ステップで損益分岐点売上高を求める方法の応用編としてお伝えします。
今回は主に
・人件費を削減できた場合、損益分岐点がどうなるのか?
について書きます。
もし、
・損益分岐点売上高の求め方ってどうやるの?
・利益目標を踏まえた目標売上高の求め方が知りたい!
そんな"あなた”は、前回の記事を一読してください。
月あたりの人件費を60,000円落とせたら、損益分岐点売上高はどうなるのか?
月あたりの人件費を60,000円削減できたら損益分岐点売上高はどうなるのか?
答え:コストが下がるんだから、利益が増える。
損益分岐点売上高の観点でいうと
答え:損益分岐点売上高が低くなる。となります。
(架空)居酒屋おかげさま の場合
(架空)居酒屋おかげさま
売上高:500万円
変動費:300万円
限界利益率:40%
固定費:150万円
損益分岐点売上高:375万円
↑
前回の記事で計算して割り出した損益分岐点売上高です。
もし、人件費を6万円削減できたらどうなるか?を計算すると
※計算式が解らない人は【前回の記事】で復習してください。
売上高:500万円
変動費:294万円(300万円-6万円)
限界利益率:41.2%
固定費:150万円
損益分岐点売上高:364万円
人件費を6万円削減できると、限界利益率は1.2%上がり、損益分岐点売上高が11万円下がりました。
一般的に限界利益率は高いほうがいいと言われています。
単純に考えると、限界利益率が高くなるほど損益分岐点売上高が低くなるということです。
「いやいや、そんなこと言われても...人件費を落とすのに苦労しているんじゃないっすか?」
そんな声が聞こえてきそうです。
ごもっともです!
特に昨今は最低賃金が上がっていることで、どの飲食店も人材不足につき、それなりの時給を出さないと、求人を出しても応募すら来ません。つまり、人件費という変動費を削減することは、そう簡単ではないのです。
そこで、注目されているのがセルフオーダーシステムです。
セルフオーダーシステムとは?
具体的にいうと
・モバイルオーダー
・券売機
などとなります。
簡単にいうと
・お客様自身で注文をすることができるシステムです。
「居酒屋おかげさま」は、どうやって人件費を削減できたのか?
さきほど、人件費を6万円削減できた場合で計算しましたが、
じつは「(架空)居酒屋おかげさま」の店主は、セルフオーダーシステムである「モバイルオーダー」を導入することで、毎月の人件費を6万円削減することに成功していたようです。
なので、
モバイルオーダーを利用する月額費用まで入れて計算をし直す必要があります。
ちなみに、
モバイルオーダーの月額費用は「1万円」だそうです。
計算しなおしてみます。
月額1万円のモバイルオーダーを導入して、人件費を6万円削減できた場合
売上高:500万円
変動費:294万円
限界利益率:41.2%
固定費:151万円(150万円+モバイルオーダー月額1万円)
損益分岐点売上高:366万5千円円
月額1万円のモバイルオーダーを導入することで、固定費が151万円となったが、
モバイルオーダーを導入することで、月あたり6万円のアルバイト人件費削減に成功したので
損益分岐点売上高は366万5千円円に下がった。
↑
こうなります。
いやいや、モバイルオーダー入れただけで人件費を6万円も下げるの難しいでしょ!と思ったそこのあなた。ただ単純に考えるとそういった発想になるかもしれません。でもね、モバイルオーダーを入れる目的をしっかり考えておくことで、まったく異なってきます。人件費削減だけを目的にしないこととが大事です。「(架空)居酒屋おかげさま」の場合を見てみましょう。
居酒屋おかげさまの店主は、モバイルオーダーを入れる目的を以下の2つとしていたようです。
・アルバイト人件費を削減する
・お客様が注文しやすい環境を整え、注文点数を上げて客単価を上げる
・アルバイトの人件費を削減する
この部分については、
アルバイトの時給:1,200円
一日あたり削減できたのは:2時間分
よって、一日:2,400円の削減に成功
月の営業日数が25日なので
2,400円×25日=6万円の削減に成功
↑
こんな感じだったようです。
・お客様が注文しやすい環境を整え、客単価(注文数)を上げる
この部分に関しては割愛します。
「(架空)居酒屋おかげさま」では、モバイルオーダー導入の結果、人件費削減と客単価増加による売上高増加に成功したようですが、売上高増加の部分の説明は割愛させていただきます。
※売上高が上がったていで計算したい人は、前回の記事と今回の記事を読みながら自分で計算機をポチポチしてみてください。
話を人件費削減にもどします。
仮に、3万円のコスト削減しかできなかった場合でも計算してみましょう。
月額1万円のモバイルオーダーを導入して、人件費を3万円削減できた場合
売上高:500万円
変動費:297万円(300万円-3万円)
限界利益率:40.6%
固定費:151万円(150万円+モバイルオーダー月額1万円)
損益分岐点売上高:372万円
モバイルオーダーを導入する前の損益分岐点売上高は【375万円】だったので、3万円損益分岐点売上高を低くすることができるとなります。
仮に、人件費を1万円しか下げることができなかったとしましょう。
そうなると
月額1万円のモバイルオーダーを導入して、人件費を1万円削減できた場合
売上高:500万円
変動費:299万円
限界利益率:40.2%
固定費:151万円(150万円+モバイルオーダー月額1万円)
損益分岐点売上高:375万6千円
モバイルオーダーを導入する前の損益分岐点売上高は【375万円】だったので、6千円高くなっちゃいます。
月額6千円なので誤差と捉えることもできますが、「単純に固定費が1万円あがって、その同額を変動費から削減することができても、損益分岐点は上がる」こととなります。つまり、固定費が1万円あがるシステムを導入するなら、変動費を1万円以上下がるか、今以上に売上を上げないと以前と同じ利益はでない。となります。
もし、固定費が5万円あがるシステムを導入して、それと同じ額5万円の変動費を削減することができたとしても、システム導入前の損益分岐点より、導入後のほうが高くなってしまいます。固定費が上がる額が高ければ高いほど、損益分岐点売上高が高くなるので、その分を売上高増加か変動費削減をさせないと利益は伸びません。
つまり、
固定費の増加額が高いほど、利益を残すハードルが高くなるということです。(あるいは、システム導入以前と同額の利益を残すハードルが高くなる)
なので、
飲食店としては、できる限り毎月の固定費の増加を最低限に抑えつつ、変動費(アルバイト人件費など)を下げる効果があり、かつ、売上が増加するシステムを入れましょう!となります。その方法の一つとして「(架空)居酒屋おかげさま」の店主は、月額1万円のモバイルオーダーを選んだということです。
単純なんですが、固定費増加が高ければ高いシステムほど、以前のように利益を出すための課題ハードルが上がるということです。そう考えると、飲食店にとっては、月額1万円~2万円のシステム導入が現実的な数字ではないか。これが今現在の私の答え(考え)です。
※モバイルオーダー導入を検討する際、店の立地や客層、店内のレイアウトや席数なども大いに関係しますが、その観点はいったん外して私の考えを記載しています。ご理解ください。
飲食店経営5つの課題
昨今飲食店では
・最低賃金アップによる人件費高
・原材料高騰
コストが増加傾向のあり利益を残すのが難しくなっています。
↑
前回の記事でこのように書きました。
それらも含めて、
私は飲食店の課題は下記「5つ」に絞ることができると考えています。
人材採用と育成、定着
新規客獲得
既存客の利用頻度増加(リピーター増加、ファン増加)
客単価アップ(注文点数増加)
コスト適正化(材料費、人件費)
「(架空)居酒屋おかげさま」の店主は、5つの課題のうち「4.客単価アップ(注文点数増加)」と「5.コスト適正化(人件費」の解決策としてモバイルオーダーを選んだということですね。
さて、
いかがだったでしょうか。
損益分岐点売上高の求め方を知っていると
・利益目標額を踏まえた毎月の売上高目標を立てれたり
・その目標に対する毎日の集客人数目標が立てれる
ことが解ったと思います。
さらには、
固定費が上がってもそれ以上に変動費を下げることができれば、利益を出すことができる(損益分岐点売上高を低くすることができる)ということが、数字をもって理解できたと思います。
ポイントは、
できる限り毎月の固定費の増加を最低限に抑えつつ、変動費(アルバイト人件費など)を下げる効果があり、かつ、売上が増加するシステムを入れましょう!となります。
ズバリ!言うと
月額1万円~2万円いないのモバイルオーダーを検討しましょう!
ということです。
その場合「(架空)居酒屋おかげさま」の店主のように、目的をしっかり立てて、検討するのが良いでしょう。
今回紹介した方法は、超簡単な計算で整理できるのでオススメです。
ぜひ、あたなの店の場合でも計算してみてください。
明日からの目標が立てれやすくなったり、セルフオーダーシステム導入の目的が見えてきたり、導入検討の判断ができたりするかもしれません。
飲食店経営するのなら、損益分岐点売上高の求め方くらいは知っておかなければですね。
ではまた。
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