『自殺にいたる病』④自殺前夜ー予感ー
~妻が「隠し事」をしている。彼女の様子でそう確信した。しかし、いったい何を隠しているのか、想像はするものの思いつかない。それほどに妻のことを信頼していた~
次の休みの日、妻から電話があった。
「ごめんなさい、ちょっと友だちと会ってたの」
あんな遅い時間に?とふと頭をよぎったが、ボクは穏やかに返事をした。
「そっか、まあ、たまにはそういう時間も必要だよね」
すると妻はなぜか少し冷たい口調で、「ねぇ…、誰と会ってたか、とか聞かないの?」と、ボクの予想しない言葉を投げてきた。
まるでボクが彼女に何か不信感を抱いているのを察していたかのようだった。
「別に詮索はしないよ」と答えると、「そっか、分かった」と電話を切った。
妻が隠し事をしているとしたら、どんなことだろう?
その時にふと、妻と付き合い始めの頃に彼女が話していたことを思い出していた。
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