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あいうえおもいで

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何がきっかけだったか。 ある日の夕食後、夫と「あいうえお順に単語を挙げて、それにまつわる思い出を語ってみる」という話になった。 思わぬ単語が、思わぬ記憶を呼び起こす。 同じ単語…
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#記憶

あいうえおもいで 【え】

【え】 絵 思いのたけは、描いて(書いて)ぶつけていた。 3歳か4歳の頃に描いた絵が、今も写真で残っている。 建築関係の仕事をしていた父が時々、私が遊ぶのに良かろうと大型の照明器具や資材なんかが入っていた段ボール箱を職場からもらってきてくれていた。それを開いて、自分の体よりも大きな段ボールに寝転がってよく絵を描いた。(今になって思えば、新築で購入したマンションの壁や床に、子どもの無邪気さと無自覚な残酷さによる落書きは阻止したいという両親の思惑もあったかもしれない) 女の

あいうえおもいで 【う】

【う】うさぎ うさぎのことを思うと、いつも罪悪感に駆られる。 子どもの頃住んでいたマンションの隣の家には、同じ小学校に通う3歳年上のお姉さんがいた。彼女は小学校の飼育委員で、ある日怪我をしたうさぎを連れて帰ってきた。そのうさぎは同じ飼育小屋のうさぎ同士のケンカで激しく耳を齧られてしまったのだという。確かに片耳が大きくえぐれた痛々しい姿だった。治療と同時に他のうさぎたちとは物理的に離す必要があるということで、しばらく彼女の家で世話をすることになったのだそうだ。 うさぎは瞬

あいうえおもいで 【い】

【い】石(いし) 祖父は、祖父だけの目を持っている。 小学3年生の頃だったか、夏休みに祖父母のいる田舎に遊びに行った時のこと。 両親と祖父母、そして叔父一家のみんなで近くの川原へバーベキューをしに出かけた。 火起こしや食材の用意をする父たちをよそに、祖父(上はランニング、下はステテコという典型的な昭和の夏のおじいちゃんスタイル)はふらりとその場を離れるとしばらくひとりで川原を歩き回り、綺麗な石をいくつか拾って戻ってきた。 少し紫がかった色の石、白い縞模様が入った石、表

あいうえおもいで 【あ】

【あ】アイスクリーム(あいすくりーむ) 小学校3〜4年の頃、お菓子づくりにハマった時期があった。 子ども向けの料理本を母が買ってくれて、それを見ながら作るのが楽しかった。シンプルなバタークッキー、サクサクのスコーン、カラフルな色のゼリー…。 夏休みに入る前のある放課後、友達も呼んで家でアイスクリーム作りに挑戦した。基本のバニラアイス。 アイスクリーマーなんてものは無かったから、冷凍庫で冷やし固めながら時々取り出してはスプーンでかき混ぜる必要のあるレシピだ。 当時憧れだった