「清貧を美とする風潮」だけではない、日本の新設NPOを阻む構造的な課題
ソーシャルセクターは「脱清貧」を 佐俣アンリ氏
上記の記事を拝見しました。
要約すると
①世の中には非営利でしか解決できない課題も多いけど、日本のソーシャルセクターは「清貧」が美徳とされていて給料が低すぎる。
②米国のNPOは職員に適切な報酬が支払われ、若者に人気の就職先でもある反面、日本は「次世代のエース」と目される若者が少ないのが現状。
③ソーシャルセクターでも十分な給料が支払われるようになってスタートアップとも健全な競争が生まれれば、相乗効果もある楽しい世界になるはず。
という話で、僕自身も本記事に強く共感します。
ただ僕は「清貧を美とする風潮」だけが原因ではなく、純粋に構造的な問題も大きくあると感じています。
なので日本のNPOが置かれている環境をもっと多くの方々に知ってほしいなと感じて本noteを執筆いたします。
(まだ未熟で経験も浅く、軌道にも乗っていないNPO経営者からの目線なので誤りがあれば申し訳ございません。)
まずNPOは収益事業で稼ぎを得る「事業型NPO」と、主に寄付や協賛などによって資金を得る「寄付型NPO」に大別されます。両方を取るハイブリッド型も少なくありません。
事業型NPOの場合
株式会社の環境として、昔はEXITを目指すスタートアップへの投資が主であった反面、現在は「社会課題の解決やソーシャルグッド」「想いに共感できるか」を大きく評価する出資がエンジェル投資家に増えており、営利と非営利の境が溶けてきていると言われています。
それ自体はとてもいいことであるものの、「事業型NPOを選択するより株式会社で始めた方がやりやすい」という話になります。
寄付型NPOの寄付における構造的な課題
寄付型NPOで言うとそもそも日本では寄付文化がないという話もありますが、ハードルはそれだけではありません。
NPOには普通のNPOと認定NPO(一般法人には一般法人と公益法人)があり、認定NPO/公益法人は寄付する側が税額控除を受けられるため、認定NPO/公益法人に寄付が集まりやすくなります。
確定申告をするような方にとっては、寄付する側にメリットがあるわけです。
しかし普通のNPO法人/一般法人にそれはありません。
そして認定NPO/公益法人となるためには財政や組織的な基盤が必要となります。
つまり「寄付を集めやすくするためには、資金を集められる土台を固めなくてはいけないジレンマ」があるのです。
自治体や財団さんの委託・助成金について
「国や行政、財団とかはお金出してくれないの??」と言われることも少なくありません。助成金というものですね。
これは僕も最初は誤解してしまっていたのですが、助成金は「NPOを支援しますよ!」という救済措置的な仕組みではなく「各自治体や財団さん自身のビジョン・ミッションの実現に近づけてところにお金(委託金)を出すよ」とやっているもの。
なので申請するときの審査基準で実現性を問われることも多く、組織体制が整ってない新設NPOは不利な印象があります。ちなみに人件費は対象にならないことが多いです。
(あくまで印象なので、先方さんと弊社のビジョン・ミッションが一致しそうなところにはできる限り出すようにはしています!)
また、そういう委託事業や助成金は大抵の場合「3年以内まで」であることが多く、NPOの中には委託や助成金の要件に合わせて事業を作って資金を得て…をずっと繰り返してしまって「NPO自身のビジョン・ミッションってなんだっけ??」とよく分からなくなってしまうところも少なくないそうです。
なのでNPO界隈では「委託や助成金は麻薬」と言われることもあります。
新設NPOに寄付する「エンジェル寄付」
そういった環境にあるため、日本の新設NPOは8年連続で減少しています。
そしてNPO全体で見たとき、僕のような20代でNPOの代表をやっている人は0.1%しかいないそうです。(株式も合わせると更に激減、、笑)
最近、認定NPO法人D×Pの今井代表が同様の課題に着目して「エンジェル寄付」の必要性を訴え、共感したイケダハヤト氏が新設NPO2社に対するエンジェル寄付を実施しておりました。
スタートアップと同様に、新設NPOにも起動へ乗せるための資金調達がなされやすい環境が今後の日本でも広がってほしい。
そう切実に願っております。
まぁ環境が変わろうが変わるまいが、僕は僕のやれることを限界までやり続けるだけですが。。
引き続き、子ども達のためにがんばってまいります!
(ちなみに上記の「エンジェル寄付」企画、僕も参加してみましたがあえなく撃沈したので、「せめていろんな人に弊社Nancyを知ってほしい」と思って下記のnoteを書いてみました。ご覧いただけますととても嬉しいです!)