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高校野球は分岐点にある

今、高校野球は分岐点に立っている。私は小学校から高校まで野球を続けてきた。今回は高校野球のこれからについて考えていきたい。これはあくまで個人的な意見である。少し長くなるが、お付き合い願いたい。

①部活動であるべきか、クラブ活動であるべきか

近年、教師の仕事が増え、さらに働き方改革も進み、先生が部活をもつか、外部コーチを呼ぶか議論されることがある。特に野球は土日も一日練習や試合などで休みがないことで有名だ。その割に休日手当が少ないという声もある。生徒の文武両道という声もある。生徒はあくまで勉強が本分である。部活のせいで勉強がおろそかになっては元も子もない。こういった部分から、クラブ活動にした方がいいのでは、という声があがる。

私は半分賛成で、半分反対だ。まず外部コーチを導入することは賛成である。ただ部活動という仕組みをなくしてはいけないと考える。確かに野球部はハードだ。練習時間は長いし、体力的にもきつい。ただ部活は野球をするためだけにやっているのではないということをわかってほしい。

クラブ活動にすべきだということをよくコメンテーターなどが言っているがそれは部活の本質を見ていない。もちろんゴールとして甲子園であったり、県大会ベスト〇〇が目標だったりするかもしれない。しかし部活はあくまで人間形成の場でなのだ。「野球での行動が普段の学校生活につながり、普段の学校生活が野球につながる。」これは顧問の先生から口酸っぱく言われてきた言葉だ。学校の流れで部活があるし、教室で会うメンバーと部活でも会うからこそ、なおさら実感することができる。クラブ活動では味わえないことだ。実際、今の自分は野球部での学びで形成されていると言っても過言ではない。礼儀、気配り、洞察力・・・、部活がなかったらと考えると恐ろしい。

クラブ活動を全面否定しているわけでもない。いい例としてサッカーがある。サッカーは部活でも存在するし、プロのユースチームとしても存在する。野球はプロのジュニアチームやシニアリーグやボーイズリーグなどはあるが、高校の年代でユースチームなどは存在しない。野球も導入しても良いのではないかと思ったりもする。

②暑い中、野球をやることがおかしい?

次の問題として、「なんで暑い中野球をやるんだ」「甲子園じゃなくて、ドームでやればいいじゃないか」がある。これもよくテレビのコメンテーターが言っている。これにも賛否はある。

ずっと野球をやってきた立場からすれば、夏と言えば野球だし、高校野球と言えば甲子園。これは鉄板だ。多くの球児が甲子園に憧れる。春の選抜も盛り上がるが、夏の甲子園は集大成ということもあり、もっと盛り上がる。だからドームでやるなんてありえない、と思うだろう。客観的な意見としては、熱中症になるかもしれないのに外でやるなんて自殺行為だ、というのもわからなくはない。

変えるなら思い切って変えるしかない。今までの野球―夏―甲子園という連想が定番だったことを変えるんだから、最初の批判は覚悟してドームに変えるしかない。ただ現役の選手たちはやはり夏にこだわっている。夏にしたくないのではなく、温暖化対策をしてほしいのだ。現場の声を大切にしてほしい。

③球数制限

これはプロの経験者でも賛否がわかれる問題だ。「投げすぎは身体によくないからやめた方がいい」で片づけてはいけないと思う。人数が少ないチームにとって球数制限は死活問題だ。またプロ野球選手になるならわからなくもないが、大半の選手は高校で野球から離れる。最後の思い出という部分もある。その最後の思い出を、選手たちが不本意なまま終わらせてしまっていいのか。大船渡高校の佐々木選手(現ロッテ)の登板するしない問題が、今年の夏話題になったが、あれも賛否判断はしがたい。ただ登板させない、と判断した監督さんの決断は素晴らしい。球数問題はこれからどうなっていくのか、まだまだ長引きそうな予感もする。


終わりに

高校野球は上記のようにいくつもの課題を抱え、分岐点に立っている。これはピンチでもあり、さらに野球を発展させるチャンスでもある。だからこそ外部から、決めつけるようなマイナス発言が減ってほしいと切に願う。その道のプロの人でも悩んでいるのに、一意見ならまだしも、わかったようなつもりで口出しをするのは控えてほしい。簡単に結論を出すのではなく、多くの人が意見を出し合い、それが野球界の発展につながってほしいと思う。


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塩浦良太
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