10年前に感じた米国サッカーの可能性
米国のスポーツシーンを語る上で最近サッカー事情を尋ねられることが増えてきました。米国サッカー盛り上がっているみたいだね?MLSの試合見に行った事ある?など明らかに海の向こうでの様子に興味を示している人達が増えてきています。
そんな質問にお答えするため米国のサッカー界においてはプロフェショナルである中村武彦氏が著書を出版しました。私も読ませていただきましたが、これまでの背景、そしてMLSの舞台裏を解説してくれ非常に勉強になる一冊です。
一度もお会いした事ないのですが、勝手に紹介してしまってすいません。
ビジネスにおいてはこれほどの素晴らしい著書が出ましたので、私としてはこの本を読んだ事をきっかけに自分と米国サッカーを振り返ってみようと思います。
2歳から米国生活だった私は物心がついた時に一番最初に触れたスポーツは実はサッカーでした。小学校になる頃には地元サッカーリーグに所属し、補習校の日本人チームにも在籍していました。そのチームの名は忘れもしません。オレンジのユニフォームを身にまとい「ドラゴンボール」という名でした。
住んでいたのが西海岸だったからかもしれませんが、印象としてはサッカーは米国においてメジャースポーツだったという事です。ですが大人になるに連れてそうじゃないんだなと後々感じた事を覚えています。私はよく日本でいうバスケットボール事情に似ているなと思っていました。少年団レベルでは競技人口も多いのですが、歳を重ねるに連れて減少してしまう。それは当時まで”プロ”としてのリーグが確立していなかったからだと思います。それがここ最近米国でのMLS、そして日本でのBリーグと両方がスポーツビジネス界において中心へ仲間入りしつつあります。やはり憧れの存在があるっていうのは非常に重要な事なんだなと改めて思います。
さて、私が目にした米国でのサッカーシーンもいくつか紹介したいと思います。一番最初にMLSの試合を生観戦したのはシカゴでした。シカゴ・ファイアーの本拠地であるトヨタパークに行った時の事です。当時ファイアーにメキシコ人のクアウテモク・ブランコ選手が所属していて、ゴール裏では色んな文化が入り混じっていた様子を覚えています。そして試合前の演出から会場外でスポンサーがアクティベーションなどで作り上げる空間にこれは面白いかも?と感じたの第一印象でした。これが確か2008年5月の話です。
そして二度目に訪れたのがベッカム選手が参戦したその盛り上がりに”ミーハー的な感覚”で知り合いと見に行きました。たまたま大学生の時にニューヨークに足を運んだ2008年7月でした。分かりにくいですが、FKを蹴ろうとしているのがベッカム選手です。この時はただただ一人の選手が持つ影響力に圧倒されました。
そして次に足を運んだのはMLSではなく、米国代表の試合。相手はホンジュラス。少しずつ盛り上がっていたMLSに触発され、シカゴを訪れていた時に代表戦を見に行こうという話になりました。正直期待はしていなかったのですが、訪れたシカゴ・ベアーズの本拠地ソルジャーフィールドの様子を目の当たりにした時の衝撃は今でも記憶に残っています。
文化が入り混じり、様々な言語が飛び交う場。一瞬ここはどこ?と錯覚に陥ってしまうような雰囲気でした。これは2009年7月の試合でしたが、改めてこの時米国でのサッカービジネスの可能性を肌で感じた瞬間でした。
時は10年経ち、MLSも米国の5大プロスポーツリーグとして名を連ねるほどに人気もビジネスも確立してきました。昨年はシンシナティに仕事で訪れた時にちょうどFCシンシナティがMLS参入濃厚という事で地元メディアが盛り上がっていました。
街の中心街にはチームショップもあり、店員さんと話をした時にこれから期待する盛り上がりを笑顔で語ってくれました。
今回一冊の著書を手に取る事で当時試合を見に行った者として感じていた感覚を改めてビジネス的な背景を下に照らし合わせる事が出来ました。著書内でも人材の重要性について随時触れていましたが、今朝はこんなニュースも出ていました。NBAクリーブランド・キャバリアーズからMLSヒューストン・ダイナモへの”転職”。これからMLSはまだまだ面白くなる。そんな事を最後に予感させる話題でした。
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