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40歳で大企業からスタートアップへの挑戦に失敗した話 #1176

みなさん、こんにちはー!

僕は、16年勤めた大企業からスタートアップへ転職して、絵に描いたように失敗し、たった10ヶ月で退職しました。今日はそんな話をしようと思います。
世の中にはキラキラしたスタートアップへのエントリー記事が溢れていて、本物の失敗談はあまり存在しないので、大企業で悩める中年のヒントになるのではないかと思うからです。(僕も情報が少なくて、色々な人に相談しました)
きっと、読んでもらったらミドル層の皆さんの挑戦の成功確率をほんの少し上げることができるのではないかと思います。

※世の中にキラキラ記事しかないのは、みんな失敗はあまり語らないという理由以外に、やめたばかりの会社のことを書くと、批判しているようになってしまうからだと思います。ただ、運のいい?ことに、僕の場合は100%僕の責任としか言いようがない理由で失敗しているので、きっと希少性のあるnoteになるのではないかと思っています。
とはいえ、もしも会社批判をしているように感じる部分があれば、それは僕の本意ではなく、僕は関わった企業全てに、おべっかなしで感謝していることをここに明言させてください。

なぜ、大企業から40歳で転職したのか?

まず、冒頭になぜ、40歳で大企業→スタートアップの転職に挑戦したのかを簡単にお話しします。
細かい理由はあるのですが、まとめると1つの理由になります。
それは、「自分の未来が見えたこと」です。
僕は人材派遣の仕事に相当コミットしてきました。16年、同じ会社に勤め、500以上の関連noteを書くくらいには。しかし、会社というものは残酷なものです。
僕は評価されていないというほどではないものの、自分がどの程度まで出世できるのか、天井を見たような気がしました。僕のいた会社は外資でしたが、英語はからっきしでしたし、相手の懐に入るスタイルの営業以外に強みを持たない僕には、逆転は難しいように感じました。
いや、仮に40歳から一気に日本一の経営者と言えるほどの能力と知識を身につけたとしても、その時点で会社につけられたラベルが王道の出世コースじゃないのなら、自分が影響力を与えられる上限出世の天井が見えてしまうのが、僕はミドル以降の会社員の大きな苦しみだと思っています。

もちろん、その予想を覆すことはできるのだと思いますが、そのための労力と、その確率に暗い気持ちになっていました。さらには、それでも人材派遣や非正規雇用で働く人に、少しでも多くの選択肢を提示するという取り組みにはコミットしたく、多くの影響力を持ちたい(=出世したい)気持ちも捨てきれず、悶々としていたのです。

それがきっかけで、スタートアップへの転職活動を始めました。大企業に転職しても現状は変わらないと思ったので、非正規雇用の領域にHRテックで立ち向かっている会社だけを受けるような転職活動でした。
この転職活動も、どちらかといえば、家族を養えるオファーをもらうことが難しいであろう現実と向き合うことで、踏ん切りをつけてその時の会社で頑張ることができるように活動したという感覚の方が強かったです。

僕以外にも、こんな気持ちの中年は多いのではないでしょうか。コミットしていればしているほど、残りの会社員人生と、自分の成し遂げたいことや評価とのギャップに苦しむタイミングのように思います。

失敗1:自分の成果と役割と期待が曖昧

さて、そんな中年のモヤモヤの中、チャレンジした今回の転職の明白な失敗ポイントの一つ目を共有します。
今回の転職において、僕がしっかりと確認しておくべきだと痛感したのは「自分の成果と役割と期待」です。
僕は今回の挑戦で、自分の経験が活かせそうなスタートアップであることに加えて、家族をもっと余裕を持って養うことができるための待遇面に拘りました。そして、前職のから大幅アップの年収条件が出たことにより、えいや!と飛び込んだのです。
今思えば、この時に勇足をせずに、自分に求められる成果や役割、期待について事前に擦り合わせをすれば良かったです。16年間の人材サービスでの経験にもある程度自信を持っていたこともあり、「僕の経験とネットワークと知識を活かしてリードして欲しいんだろうな。きっと役割なんか目まぐるしく変わるだろうし。出たとこ勝負でいこう!」と考え、自分で考えることも、会社への確認も怠りました。

確かに、環境の変わりやすいスタートアップ企業において、役割は変わりやすいものだと思います。でも、今回の自分の経験からしても、スタートアップに転職してうまくいっているミドル層のお話を伺っても、確信しています。求められる成果と役割ははっきりさせておくことが大切だと。
なぜなら、その経験からくる何かに対して、若手を雇う以上の給与を払ってくれているからです。

それがわかっていない状態で入社すると、成長スピードに合わせて目まぐるしく変わる目の前の仕事の中で、どの部分でバリューを出す必要があるのかわからなくなります。
何を思ったか、僕は入社した後も「なんでもやります!」と言ってきましたが、若手じゃないんだから、なんでもやってちゃダメなんです。貢献できることに思いっきり焦点を当てた方がいいです。
そんなふうにバタバタもがいた僕は、人材サービスの経験を活かす場面も少なく、気がついたころには、中年で体力に劣りパフォーマンスが普通以下なのに給料が高いSaaS営業になっていました。
そして、その状態が焦りを生み、目の前の結果を出すことで一杯一杯になりました。本来、経験者のミドルに求められるであろう、事業を前に進めたり、経験を活かして周りを巻き込むような仕事や提案ができなくなっていきったのです。
”成果・期待・役割に向き合っていない→ひたすら目の前の営業の仕事で成果を出そうとする→経験やスキルを活かせる仕事の時間が減る→期待される成果が出ない”
という負のスパイラルに突入していきました。
僕は今回の経験で、自分の期待・成果・役割をどうあるべきかを考え、その上で会社と確認して入社することはミドルの転職においてとても大切だと知ることができました。

失敗2:経験が不要になることもあることを認識していない

二つ目の失敗ポイントは、経験が不要になることもあることを認識していなかったことです。一つ目でお話しした原因以外に、自分の経験を活かすことができなかった理由があります。それが、経験は常に必要とされると思い込んでいたことです。

採用をしていただいた時は明白に僕の人材サービスでの経験は必要とされていたと思います。しかし、入社して数ヶ月の間にその必要性は大幅に下がっていったのです。
スタートアップは意思決定や方針が変わる方が普通です。いや、目まぐるしく変わると言ってもいいかもしれません。
あなたが、これまでの経験を活かしたいと強く願ってスタートアップへ転職するのなら、会社の行き先に対しても懸命に働きかけていかなくてはいけません。自分の経験が活きると思った方向へ会社をどんどん巻き込んでいかなければ、場合によっては自分の経験が不要になってしまうこともあり得るからです。
実際に僕は目まぐるしく変わる方針の中で、人材サービスでの経験をあまり活かせない流れに身を置くことになってしまいました。「会社の意思決定を一生懸命やるぞ!!」というのは若手だけの専売特許です。ミドルがスタートアップに行ったら、自分の思う良い会社を作ること、自分の役に立てる領域を増やしていくことにアプローチしなくてはいけません。これは綺麗事抜きで、スタートアップに転職する時のドレスコードだと思っておいた方がいいと僕は考えています。

僕は誰に頼まれなくても、ずっと人材サービスに関して発信を続けてしまうくらいの人材サービスバカのくせに、この努力を怠ったが故に、人材サービスの経験があまり必要じゃなくなり、それに非常に困惑し、結果として早期離職をして会社に迷惑をかけてしまいました。

気づき:やりたい仕事は心身が喜んでいる

僕の転職の失敗談は以上です。本当はもっと葛藤もあったし、右往左往しているのですが、聞いてくれる人は飲みに行きましょう。もちろん、奢ってくださいw

そして、今回の挑戦で学びになったことが1つあるので、皆さんに共有させてください。
それは、「やりたい仕事は心身が喜んでいる」ということです。
僕は人材派遣営業がやりたいし、向いていたし、好きだったのだと思います。16年いたのに、いや、16年いたからこそ、気が付きませんでした。
前職では、朝から憂鬱なことは(二日酔い以外)ありませんでした。
転職後は、大体毎日、二日酔いの日くらい身体が重たかったです。
前職では、机に向かって苦手な数字と向き合っていても苦痛はそこまで感じませんでした。
転職後は、机に長時間向かっていると謎に右手が痺れるようになりました。
前職では、トラブルが起こるたびに、ヒーローになれる!って興奮して行動していました。
転職後は、トラブルが起こると憂鬱で、行動するまで時間がかかりました。
前職では、別に誰に命令されなくても一日中仕事のこと考えていました。
転職後は、仕事以外の時間はパソコンすら開きませんでした。(これが一番びっくり!)

僕は、時に理不尽に思えるような板挟みにあいながら、それぞれの気持ちや主張、利害を考え、みんなが幸せになる結論を探すような仕事が好きなんだと思います。
働くことに悩んでいたり、時に弱い立場になってしまう人のために勉強したり、体張ったり、飛び込み営業したりするのが大好きなんだと知ることができました。

僕は、前職のことを、辞めたくても辞められないから16年やってきたと思っていました。大学中退後の職場を2年で辞めているから辞めるわけにはいかなかったのです。でも、僕はどうやら、やりたくて仕方なくて16年走ってきたようです。
よく考えてみれば、(僕みたいなやつが)16年も嫌々働けるはずがありません。だって、40歳にもなって、10ヶ月で離職してるんですから。
みなさん、全員に該当するかはわかりませんが、仕事が好きか、向いているか、やりたいかなんて、身体でわかるということを僕は知りました。やりたい仕事は、ほっといてもやっちゃうのです。朝起きたら、よっしゃ、やるぞぃ!って思うのです。一回、気持ちが乗らない仕事と出会えばすぐにわかる話だったのです。そんな気づきがありました。

それでも、僕はベンチャーに行く

最後に、今の僕の思いを少しだけ。
僕は先月から人材ビジネスの現場に戻っています。しかも、次もベンチャー企業です。
スタートアップへの転職は、一般的にいう失敗に終わりました。失敗じゃなくて発見だと言ってくれる人がいますが、やっぱり10ヶ月で挑戦を終えたことを発見だったなんて僕には思えません。
が、実は僕は悲観していません。それどころか、貴重な経験ができてラッキーと思っているし、最高の状態に近づくことができて、嬉しく思っています。

スタートアップに挑戦してみて、先の見えた気分で20年大企業にいるよりも、刺激的で、自己効力感を感じることができる毎日を過ごすことができています。先が見えた気持ちになってから、変に3年とか5年我慢して転職するよりも、挑戦している人の方が次のチャンスもやってくると思います。たとえ3日で辞めることになったとしても、挑戦しているミドルは少ないので、きっと家族を養うことができなくなったりしないで挑戦し続けることができると思います。

実際に僕は大企業からスタートアップに挑戦する時、収入と安定のことばかり心配していました。でも、その心配は本当に少ないと今の僕は思っています。
それよりも、しっかり会社を巻き込んで主体的に挑戦すること、自分への期待や役割、求められる成果に集中することのほうがはるかに大切です。そこと向き合っていれば、僕らはずっと挑戦し続けることができるし、成長し続けることができると、確信しています。

労働力人口が減る中で、シニアや外国人の活躍だって大切だと思いますが、中年が元気に挑戦しつづけることは日本の生産性のためにも大切なはずw
まだまだ挑戦できるのに悶々としているミドル世代の皆さん、(もちろんスタートアップへ転職することに限らず)共に挑戦し続けましょう。
僕の経験をもう少し具体的に聞いてみたいなどあれば、お答えしますのでいつでもご連絡ください。↓

では、また!





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櫻井 諒|あえて今の仕事を選んでいる人を増やす
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